発問のポイントHEADLINE
「問い」と「答え」の間に距離が必要
「わかる」授業の成立条件として、教育目標に対応した客観的な構造をもつ教材と、教師の発問が重要な鍵を握ります。
ここでは、発問だけに焦点を当てて触れておきたいと思います。
仮に、抽象的に知識を獲得させるのが目的であれば、一問一答式の発問でも効果は上がるでしょう。しかし、「生きた力」としての具体的な知識を獲得するにはそれでは不十分です。
子どもたちは、「生活的概念と科学的概念との往復運動」を繰り返す中で、学びを楽しみながら、専門的な知識や概念を具体的に獲得できると言われています。
「往復運動」を支援する発問には、「問い」と「答え」の間に距離が必要になります(中間項の理論)。そのような発問で構成された授業では、「答え」にたどり着くためには、子どもたちは思考や実験あるいは試行錯誤(=距離)をしなければならないので、たどり着いたときに「わかった」と体感できるようになります。
失敗を許し、活かすゆとり
ところで、名人と呼ばれる教師の授業には、「待つゆとり」と「失敗を許し、活かすゆとり」が共通してあります。
「距離」のある発問をしたときには、「正解」は簡単には出てこないものです。「わかる」ための手続き条件として、教師に「待つゆとり」がなければ、子どもたちの学びは成立しません。
また、新たなことに挑戦することは、常に失敗する危険を伴います。失敗を許されない環境では、子どもたちは新たなことに挑戦しなくなります。反対に、的はずれな発言をしても、その「失敗発言」を「往復運動」の一環になるように教師が構成すれば、その子どもは、次も頑張れるものです。
「待つゆとり」をもち、「許される失敗」を体験させてくれる教師の専門的な知識と技術。子どもたちは、そのような力を持つ教師を、プロとして信頼するのです。
2003年2月
バナースペース
「社会科通信」なんでやねん
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