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「疑う力・考える力・生き抜く力」を育てる社会科授業を提案するサイトです。

学びを深める発問HEADLINE

1 発問は思考や気づきを促すための方法
 一問一答式の発問は、記憶を確かめる効果はあっても、学びを深めるには不十分です。学びが深まるためには、子どもたちが思考し、「納得」できなければならないからです。
 算数などの「問題」では、「答え」にたどり着くためには、「計算」をしなければならないという過程=「距離」が内在します。この「距離」は、計算力(技能)だけでなく、思考力の育成でも重要な要素で(中間項の理論)、発問に、思考するための「距離」が必要です。
 発問は、「答え」を問うものではなく、思考や気づきを促すための方法だと理解すると、工夫する方向が見えてきます。


2 「問い」から「問い」を派生させる
 一方、「生活的概念と科学的概念との往復運動」を繰り返す中で、子どもたちは学び(思考)を楽しみながら、知識や概念を具体的に獲得することができると言われています。この「往復運動」を「距離」のある発問で作り出します。
 次に、「享保の改革」(社会科・歴史)の学習場面で、発問例を考えてみます。
① 内容が、子どもたちの生活・学習経験で具体的に焼き直すことが可能な発問
 「家計が苦しくなって生活ができなくなった。このピンチを切り抜ける、できるだけ多くの方法を提案してください。」
② 視点(立場)を変えて思考する発問
 「君が農民だったら、この改革の定免法に賛成 or 反対?」「その理由は?」
③ 次時以降の学習内容の布石となる発問、学習後に新たな疑問が湧き出てくる発問
 「生き続けたい。君がこの時代の農民ならどう生き抜く? 別の機会に考えたいと思います。」(Open-Endの授業)

 ニュートンは、リンゴが木から落ちるのを見て、
『物は2mの高さから落ちる、10mの高さでも落ちる、100mでは … 』『では、なぜ月は落ちない?』と、「問い」に「問い」を重ねて、万有引力の法則を発見したと伝えられています。どの類型の発問でも、「問い」から「問い」を派生させることが、思考を深め発展させるポイントになります。

3 「待つゆとり」が学びを深める
 名人と呼ばれる教師の授業には、専門的な知識に裏打ちされた「待つゆとり」が共通してみられます。
 「距離」のある発問をすると、「答え」は簡単には出てきません。
 教え込むのではなく、学ぶ力を引き出す視点をもった、教師の「待つゆとり」が、子どもの学びを深めます。


4 「失敗を活かすゆとり」が信頼関係を築く
 「距離」のある発問に促されて子どもたちの間に議論が起こります。その場面での発言は、常に失敗する危険を伴います。
 失敗が許されないと、子どもたちは挑戦しなくなります。反対に、失敗発言が「往復運動」の一環となれば、子どもたちは、次も頑張れます。
 教師の「失敗を許し活かすゆとり」が、学びを深め、子どもとの信頼関係を築きます。

2003年2月

バナースペース

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