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試験問題「ひめゆり部隊の体験談から感じとったこと」HEADLINE

【観点】
  • 関心・態度

【問題】
1998年実施
 次の課題をよく読んで、自分の考えを説明しなさい。

 修学旅行の第1日目に聞いた、宮良ルリ先生の講話の中で、
 「昭和20年に学徒出陣がありました。 … 八重山出身の生徒の壮行会を同郷の女子師範の生徒たちがもちました。その時、本科2年の宮良英加さんがお礼の言葉をのべました。
 英加さんは、『きょうは大変ありがとうございました。私たちは入隊することになりましたが、故郷に帰ることもなく、息子を戦場に送る親の言葉を聞くことなしに出陣することを考えると、残念でたまりません。しかし、この壮行会を開いていただいて、私たちの気分もいくらかまぎれました。入隊するにあたり、ひとつ話しておきたいことがあります』と前置きしました。そして、
 『私は徴兵検査がくりさげになって十九歳から入隊しなければならないということを聞かされた時、頭の先から爪先にかけて、鉄の棒をつきさされたようで、非常に残念でたまらなかった。師範学校に入学したからには、一度は生徒を教えてみたかった。年老いた両親が一枚の卒業証書を待ちこがれているのに、それを見せることもなく、勉学の途中で入隊しなければならないというのは非常に残念でたまらない。しかし、いったん戦場に出たからには、生きのびて帰れるとは思えない。女の人は男子より助かる機会が多いから、生き残ったら必ず伝えてほしい。戦争は非情なものだ。どんなに勉強したくてもできない。したいことがまだまだたくさんあったのに。戦争のない時代に生まれたかったということをのちのちの人に伝えてほしい』と言ったのです。
 その時の私は、英加さんはおかしい。どうかしている。頭が変になったのではないかと思いました。男の人は、みんな喜んで戦争に行くのではないか。と思っていました。」という話がありました。
この宮良英加さんの話と、宮良ルリ先生がその時感じたことについて、自分の考えをまとめなさい。





【解答・採点基準】
満点は6点。
◎ 歴史的事実に基づかないで、書かれた「感想文」は0点。
① 学徒出陣は、兵役が免除されていた学生たちに、兵役の義務を課して戦場に兵隊として出ることを命じたものである。
② 徹底した皇民化教育によって、天皇のために死ぬことが国民の最高の名誉であることが教えこまれ、「生きる」ことよりも「死ぬ」ことを考える子どもたち・国民が多い時代であった。
③ 戦前・戦中の教育は考えることよりも、教育勅語などをおぼえることを重視し、子どもや国民に批判力を育てることを教育機関はしなかった。
④ その他、戦争当時の歴史的な事実を説明し、その事実と宮良英加さんや宮良ルリ先生の感じ方が結びついていることを指摘している。
以上の論点などにふれておれば、それぞれにつき各2点を加点する。
◎ その他、論理矛盾は、2点減点とする。
なお、今日の感覚のみで、宮良英加さんや、宮良ルリ先生の感じ方を批評する作文は、プラス評価(加点)しない。




 【授業で使用した教材など】
○教材 「沖縄戦を学ぼう」、「陣地化した糸数壕」、「渡嘉敷島の集団自決」など



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