2002.10.30 水
晴れ
一つ分かった。いつもの15分の駅への道のりを早足で歩けば、12分で、今でも未だ汗をかく。比較するともう寒いと言われる今も、朝の通勤で汗をかけるのだ。こんなつまらない簡単な事柄で、また一興。
明日から3日間、東京。
2002.10.29 火
晴れ
メリヤス編みは「莫大小」と書く。今日はその大きくなったり小さくなったりする代物の品質をめぐって工場に行った。生地の幅、重量の問題、風合いのすり合わせを、ああでもない、こうでもないと話し合った。つまり伸びたり縮んだりする生地を決めるのだから、敢えて、分かるような分からないような、決め事をするようなしないような、全く極めて小であり大なのだ。だから熱心に話はするもののなんとなくしか約束しない。
仕事に対する責任はある。プライドもある。もう16年やってんだから。このメリヤスニットを中心にだからこそ、ああだこうだと結論のない仕事をしている。大きくも小さくもない厄介な商品。だから責任を持って、なんでもない話をもう16年やっている。つまりなんでもないこんなことにもう充分慣れた訳だ。少しはいいだろう。なんでもない、どうしようもない、どっちにも行けない現実も世の中にいっぱいあるのだから。
世の中も多くは莫大小。
インフレもデフレも。右も左も。北も南も。
2002.10.28 月
やっぱり、昨日は寒かったんだ。今朝はもうコートのいる気温だ。寝床をでるのが億劫。布団に吸い付いた子どもらをひっぱがす。暖もまだ取れない。駅まで歩いても汗はかけない。帰りもそうだ。寒いのにこれ以上羽織るものがないのは淋しい。自分を包むものがなく、足を急いでも行く道は遠い。手をポケットに突っ込んでもその手の所為で体が温まらない。何かと生活が季節に対応していない。去年はどのコートだっけ、電気ストーブはどこにしまったっけ。今って、そんな寒かったっけ。一年経つともうほとんど忘れている。
2002.10.27 日
六甲アイランドのコンテナ搬入の岸壁。強い風の中、釣り。高い波と風に向かい糸を垂れる。鯵や鯖50匹以上釣れた。子ども達には漁労殺生の勉強。
今日は鯵のフライで飲む。
2002.10.26 土
午前は仕事。昼が終わり町に帰ってきた。うちの保育所では、地蔵さんの祠が建設中。半畳もない大きさなのに、工期1週間だって。下の基礎造りからやっている。大家の希望なんだって。本体の保育所は震災後のプレハブのまま、工事現場のあのプレハブだ。そこにいる0歳児のほうが、地蔵菩薩に見えるけどね。
秋になってから、駅まで15分歩いている。自転車と全然風景が変わるんだな。こんな所に喫茶店があったんだ。お好み焼き屋の客の入りの差、というか何故こんなにお好み焼き屋が多いんだよ。いつも歩く人の顔も覚える。ずっと工事中だった寿司屋が今週OPENした。夜毎、大将が見守っていたよ。
来年の夏まで歩くとしよう。
2002.10.25 金
晴れ
久し振りにミナミでハシゴして午前様。客と飲んでても、昔のように、もうそれが仕事とは思わなくなった。結局飲み合う関係って自然に出来上がるから、いやなやつとは行かなくなるし、所謂「飲める」やつはお互いを分かるからさ。
自分の年齢も過ぎていくといろんなものが行きやすく通りやすくなる。だからといって安住ではない。ときめきと反省。意識しないところのそれ。それが大事。いつも底の部分でおもうこと。
2002.10.24 木
晴れ
展示会に行った。9月に苦労して開発生産したインソールの新製品が展示されていた。ブースに行くと営業の人が商品を説明してくれた。まあ黙って聞いてたんだけどね。
営業の醍醐味はやっぱ商品開発だな。そこには、アイデア、コスト、ターゲット、市場性、安定生産性、対アジアコスト、勘や自分の好み、客との相性、会社の予算、工場との友好関係、会社への報告のタイミング、などなど色々な要素がある。でも好奇心が全てのスタート、全て自分。
定時を過ぎるともう外は暗い。いつの間にかだいぶ日は短くなった。酒を飲むには良い。今日は霜降。
2002.10.23 水
晴れ
工場の生産が立て込んでいる。納期が全体に遅れる。仕様がないが、尚、毎日電話がある。声を聞いて不毛なのだが、それでいて少し気がすむのか、それなりの言い訳を聞いて電話を切っていく。「まあやれるだけやってみましょう」ってまあなんにもできないんだけどね。「言っていることはわかります」って、殆ど分かってないんだけどね。「毎日、旗立ててやりましょう」って、旗なんか立てねえよ。要は、具体的なことを言わず電話を切っているだけなんだ。冬物だから、まあ11月中もなるとみんな静かになるよ。
2002.10.22 火
晴れ
数学的論理で人生を判断してはいけない。X軸とY軸をすべて排除して解き放たれて考えよう。勝つも負けるも、取るも取らぬもない、当然正義も悪もない。
それほど語るに難しい。混沌と曖昧の中に真実がある、これは途轍もなく時間が掛かる作業なのだ。自分の欲望を埋めて時間をゆっくりかけて考えるのだ。この時間は貴重だ。そして自分への挑戦。それくらい逆に簡単に考えることもできるのだ。
2002.10.21 月
晴れ
ベテランアーティストの新譜がいくつか発売されている。彼らもオレと同じく、ひとところには留まらず、生活し今がある。全く違うものを今も生み出している。しかし、オレは誤解している。あの時代の音を郷愁のように求めている所がある。そんなはずは絶対ないのに。オレもその時のオレではない。CD(或いはレコード)を通して付き合っているとそう錯覚する。恋人の声を録音して20年聞き続ける、そう思えば何か可笑しいことをやってるわけだ。今の彼らと再会して確認しなきゃ。お互い変わったな、と。オレも変わったんだとその時確認するだろう。ほんの時折、鏡の前で自分の顔を意識して見るときのように。
「オレは生きているかい?」
2002.10.20 日
体罰教師が担任外され、謹慎処分。校長先生が、体罰は絶対あってはなりませんと平謝り。頭にヒビでなんと「1週間の怪我」だ。現場では、教師はそういう場面では疑われないように後ろに手を組むらしい。ズル賢い子どもは教師を煽る。
今日雨の落ちそうな日、体育館から運動場を眺める。体育振興会で地元の親達が野球を教えている。ここの少年野球は強いのさ。ふざけた子どもがケツを蹴られている。ごく普通の風景に見えた。
どっかにエセ平和主義者がいるんだよな。決して世の中の多数じゃないんだ。理由のない暴力と、わからない子どもに教え込ませる手段とは全然違う。
粋がってるバイク乗りが、車と接触事故を起こすと、次にはバイクの乗り方が変わる。道路を走るルールを初めて知るのだ。因みに人身事故は「1週間の怪我」が条件。かすり傷を医者に見せれば1週間。
2002.10.18 金
晴れ
二日の不在で仕事はゴチャゴチャ。適当にひとまとめにしてそれなりに収めて、接待と言うか、ちょっと親しいしゃべりのオヤジ二人と飲みに行った。
そこで出た結論。仕事のできるやつは、好奇心旺盛で、目のキラキラしたやつ。時折自分の話に酔う傾向があるが、翌日にはきちんと反省して、また前進できるやつ。キラキラしてるやつは、他のことを何も考えていない純粋な一瞬を持っている。こんなこと仕事に限ることじゃないな。
明日は久々に橋本で泊まりで飲むぜ。天気は下り坂か。
2002.10.17 木
晴れ
昨日と今日、二日間、講習で行き慣れないところに行った。防炎加工専門技術者資格のための講習会。場所は東大阪の鴻池新田。路地の入り組んだところを抜けると大阪市の消防学校に着く。周りは同じような小さい家がひしめきあっているのに、そこの敷地は異様に広い。公の金はすげえ、赤字の自治体もクソもねえんだな。その資格だって、消防署長の天下りのためにあるような資格制度なんだよ。
今日が筆記と実技考査。久々に試験だ。社会人になると、そんなことで試されないもんな。だって、ダメだったら、そこで組織にあきらめられるだけのことだ。
しかし、あの消防学校の周りで火事があったら消火は大変だぜ。人しか通れない路地だらけ。
2002.10.16 水
晴れ
鎌田ひろゆきのライブに初めていった。真面目に良心的なロックを作って演じるやつは実は地下にこのように蠢いてるんだ。実際、穴蔵のようなところだった。客が少ない所為もあって集中できた。最近ライブって知り合い大勢と行ってるから、たまに独りもいいもんだ。マネージャーを知っていたのでわざわざ挨拶までしてくれて、少し感激。鎌田は夜が似合う。対バンの成瀬昭も良かったね。あとの大阪の二組は、ごくろーさん。
2002.10.15 火
今年は、企画した通販向けのカーペットが予想以上の売れ行き。オレの作っているカーペットの機械は特殊編み機で、この生地を製造してカーペットに仕立てて販売している人間って、日本でオレだけなんだよな。自慢って言うより、単にマイノリティなんだ。いずれにしても11月まで注文に追い続けられる。12月には春の初回投入だ。今日はその打ち合わせだった。
夜には予想された雷雨。過ぎた後もそれほど涼しくない。
2002.10.14 月
晴れ
昨日は、地元で評判の店に肉を食いに行った。小奇麗だが無駄な装飾はない四角い店内。家族でやっているようだ。塩コショウのみで食す。見事な味だった、肉だった。本当の肉を食って初めて、他の肉のことが分かる。美味い魚、美味しい野菜、良い蕎麦。なんでも一流の、値段だけじゃない本当の味を知ることは大切だ。そうすると舌の世界が広がる。真っ当なものを、正面から判断するには、経験するしかない。基準なるものが出来上がる。
本当のものを知ると人生は楽しい。故に後、連れの家で飲みすぎた。
2002.10.12 土
晴れ
TVで言ってた。「この自然を見てくださーい、ほーら、すごいですねえ」
とりあえず納得、というか慣れてるんだよな。テレビから発せられる情報に慣れている、受け入れている、不感症になってんだ。でもそれが実は全然違うこともみんな経験上知っているんだ。
どこに旅しても、写した写真は思い出だけど、そこでの感動はもうない。自分の目にしたものだけが真実さ。
ポカラの丘から見たマチャプチャレも、砂利の世界にだらだら続く長城も、阪神大震災の崩れた家も、みんな。
入りやすい情報も注意だな。
2002.10.11 金
晴れ
周りが変わったり、落ちていったりする。いろいろだけれど。オレも落ちているかもしれないし、まま保っているのかもしれない。基準なんだけれど、そんな基準なんてわからないし、考えているうちにそうでなくなるかもしれない。もう落ちたと思えば落ちているんだろう。腕相撲でふっと力を抜くときのように。
最後も途中も自分だ。這い上がらなくともジブン。全てジブン。
2002.10.10 木
晴れ
気持ちがいいので、簡単なアポを取り、遠回りしてビジネス街を歩いた。オフィスが閉められて、飲食店が増えている。14,5年前に建てられたビルには空きが目立ち、潰されたビルの跡地にはコインパーキング、株価掲示はバブル最安値。日本経済の傷跡は此所彼所に残されているのだが、もう風景になじんでいる。
ただ汗をかかずに歩ける快感を楽しんだ。少しまた遠回りして会社に帰る。少し残業すれば、もう窓の外は暗くなっていた。
まさに秋の日は、釣瓶落とし。
2002.10.09 水
晴れ
生きる力は、理屈でも何でもない。愛されていることを知ることだ。
ああ愛は気付かぬところにあるものだ、きっと。より無意識のところに。
分からないところにあるのも、また幸せ。だから分からない。
しかし、幸せ。分からないところにあって、それが幸せ。幸せは分からないのだ。だから、もう君は幸せなのだ。世の中、自分の分からない所に真実がある。
もう、何も考えずに生きていけばいい。だから力を発揮しな。

今日、親を亡くした人にお悔やみを言った。
「もうこれで独りさ」
ある意味では当たっている。

2002.10.08 火
昨日は少し飲んで疲れて寝た。そういう時、よく辛い夢を見る。

もがいている、どうしても自分ひとりになってしまう、たくさんの登場人物がいても、ふと油断すると、もう独りになっている。筋肉が乾燥してきて、余分な肉どころか、繊維の隙間にあるようなものがすべて消え去り、何か自分がフリーズドライにされたような乾燥した身体になり、肌の弾力も無くなる。中にあるべき筋肉が伸縮を失い、それぞれの肉が骨から剥がれていき、それを拾ってもまた別の肉が落ちていく、もうどうなんだ、落ちた肉のそれぞれの名称を頭にインプットしながら、一体オレはどんな馬鹿になっていくのか、それぞれのオレの肉塊の名前をちゃんと自分でわかっているのか、そらわからねえだろ、もうお前は独りだ、どうしようもなく無能なお前は消えるんだ、光が見えない、暗いって起きると、そうか、昨日寝る前に雨戸を完全に閉めたからだ、と納得すると、ああ、また肉がない。どこまでが夢なんだ、とぐっと身体に塩をかけて縮みながら、じっとしているとオレの目は不意に覚めた。

時々見るんだな、こんな夢。不思議と体の疲れは取れていた。

2002.10.07 月
晴れ
会社の行く末。一般管理費と人件費の合計が売上の粗利に合うかどうか?会社って実は、これだけのこと。B/Sには、資産の見方(棚卸資産、固定資産、有価証券等)とか、自己資本率、キャッシュフローなんかあるけど、一年のP/Lで見れば、要は儲かる会社か、そうじゃないかで未来は見える。今日は、朝の客から、昼からも、雑談からそんな話をしていた。中小はいずれにしても、もうはっきりしてくる。

家に帰ると、日教組教育新聞が転がっていた。
表、四月に遡る賃金引下げに対して、「不利益不遡及の原則」に照らしても違法性が高い?所謂、法律用語、不利益なことを遡って適用されないってこと。なんだ?最近はやりの法律相談所か?
裏、解放教育の報告。高校教諭の部落史の話。ことさらに部落教育を顕在化している。おまえらが知識の中で意識している部落の確認作業か?

何か今の時代にない夢の新聞に見えた。時間が有り余ってんのか、お上に仕えてるおまえら。
ほんとに文句いうやつは、もう後のないやつらなんだよ。

2002.10.06 日
ゆっくりした二日間。最近仕事もゆっくりした流れだし、平和=退屈。昔ならウズウズしていた。今は寛いでいる。年齢と共に穏やかになる。ジャクソン・ブラウンの新譜が出てるらしい。どうしてるのかな彼の音。オレも随分「音」を作っていない。音を作るには、生活に刺激がいる。想像だけで心は動かない。心が動くには、実生活の刺激的な体験が要る。しかし、無い世界の穏やかさも求めている。年齢はある部分そうだ。でも全てではない。悪意に刺激を受ける気はない。人生に何を求めているのか、他人が羨ましく思えるのか。オレはいいのか。悪くはないのか?自分のバランスなのか。否、何も考えずに、行動を起こして、結果を振り返っていたあの時代にオレが憧れている。あの同じオレが、そのオレがオレなんだ。憧れているのに、走りながら、きちんと後ろを振り返っている。
そんなもんなんだ、年をとるって。そんなこと考えるのが、その年齢なのか。
でも子供らには教えるぜ、若いやつより、つまらんこといろいろ考えられるようにはなったんだからな。色々なつまらん角度を持ってんだからな。
つまらなくなって、大人。そして嗚呼、管理人、ソファーでだらり。
2002.10.05 土
晴れ
蒸し暑い。少し季節が戻った。しかし、キンモクセイの香りがある。運動会があちこちで行われている。食欲は上がっている。天高く、馬肥ゆ。オレは体重を落として肉を付けるぜ。別にどこに攻め入るわけでもないのだが。
2002.10.04 金
晴れ
今日は一日中デスクワーク。営業のオレには合わねえ。客に電話すると、これまたほとんど不在、あきらめて机の前へ。すると肩がこる、眠い、ふざける、相手を巻き込む、お菓子を食う、来た客の話に割り込む、コーヒーに文句をつける、社員の行動に腹をたてる、愚痴をこぼす、と陸なことがない。営業的だ、と言われることにかなり抵抗があるが、だって人間いろんな部分あるだろ、しかし、こう見ると、やはり「営業的」人間なんだろう。
2002.10.03 木
晴れ
久し振りに二日連チャン飲み。二日目は地元西宮。大阪の繁華街の飲み屋より、地元の良心的な店のほうが美味しい料理を格安に楽しめる。不思議不思議、当然、当たり前。
芋の茎と油揚げを煮付けた付き出し、松茸の茶碗蒸しに、戻り鰹のたたき、今日のあおりいか、生のイクラに、天ぷら各種+芋on the キャビア、最後は必殺お茶漬け。で、次は場所変え、おかまちゃんと飲みTIME。これで5000円。ビジネスマン、地元で飲むべし。そして地元で語るべし。
2002.10.02 水
晴れ
プライマル・ソングを聴いていた。自意識の無い素晴らしい表現。メロディ、コーラス。
いつも夢中であり、素直でありたい。ストレートな第一表現者、ああ君に焦がれる。
2002.10.01 火
台風。強い雨に、傘は用を成さない。あきらめて傘を捨てて歩こう。雨の中、普段歩いているのとは違う気持ちのいい発見があるかもしれない。
圧倒的な風に、向かうことはできない。風上に背を向けて一歩踏み出そう。その風にうまく乗れるかもしれない。
子どもは何かを期待している。大人にも何か、心の偶然を見つけるかもしれない。でも今回の台風は、過ぎるの速いよ。思う間に過ぎ去っているだろう。

過去の日記