序章、もしくは文体バトルフィールド

       ・・・・・・・パッチワーク小説-1(2002.5.27-5.29)    

まずは、「ともす」氏と「くろス」氏の名人芸をどうぞ。すべては、ここから始まった。

まねっこ 投稿者:ともす 投稿日:2002/05/27(Mon) 01:43 No.302

何年も網膜に焼き付いている光景がある。時は黄昏、血溜りの空。場所は埃まみれの街路。爆撃で破壊された店、爆風であらかた吹っ飛んだ店内、外に口を開けたままの窓とドア。破壊された車から流れ出た重油が床に溜まり、夕陽にぎらぎらと光る。片足の小僧が壊れた椅子に座っている。薄汚れた包帯の切れ端が乾いた風にはためいている。泥と垢にまみれた顔。ヤニだらけの歯を剥き出して俺ににやりと笑いかける。子供達はどこからか調達して来た煙草を回しのみするが、周囲の男達は何も言わない。

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○△っこ ○△ス - 2002/05/27(Mon) 03:04 No.303  

千年忘られぬ光景がある。時は何処へか姿を眩ます。血塗られたカフェのオブジェ。猟奇的シチュエーション。亡骸から滲み出る重油が私の両足を絡め取り、動けなくしている。一目でそれと分かる「アレ」が、壊れた膝を舐め、昇ってくる。ぎらぎら光る紫煙がヤニと垢と欲望にまみれた私達を取り囲む。構わず「アレ」は迫ってくる。千年の負荷が投げつけられる。煙草を回し呑み、エロ漫画を読み耽り、子供達は、平穏な午後の中にいる。彼等に「アレ」は見えない。彼等には「アソコ」しか見えていないようだ。私は絶句した。私達は互いに、仲間に手を差し伸べ、傷を舐め合おうとしていた。子供達はエロ漫画を読んでいた。

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まげっこ ともす - 2002/05/27(Mon) 22:20 No.304  

ここでは三億年が澱んでいる。光も時も窒息するこの深海の底で。宇宙の果てのような闇の中の闇。時折スノーホワイトが降り注ぐ。蒼い燐光に揺らめく彼の角。アルピノの海老たちが透明な足をなびかせて吸い寄せられるように寄ってくる。彼は僅かな希望の施しをする悪魔か?ほんの一呼吸で海老たちは彼の口の中に消える。死よりも深い倦怠のゆるやかな潮の流れ。獲物達はまた彼の光を求めて闇を超えてやって来るのだ。

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○△っこ ○△ス - 2002/05/28(Tue) 23:05 No.306  

ここに三億円あるんだ。君のなんだ。だから自由に使っていいんだ。臆することはない。使え。使え。使って使って使い果たしたそののち、無一文の抜け殻となって燐光を浴びよ。霊峰を仰ぎ見て希望を洗え。そして死ね。死に方は問わぬ。猶予は日の出までの三時間。選択の余地はない。それが人生。こんなもんでいいかな?不満を漏らすには遅すぎる。はい、始め。

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のりっこ ともす - 2002/05/29(Wed) 02:15 No.308       

っに言ってんだよ!ここじゃあクラブやカジノ・バーどころかコンビニもファミレスもドン・キホーテもないんだよ!東京の夜じゃねえんだ!こんな夜中に何に使えってんだよ、三億円もよ!ただボストンバック抱えて夜明けの利尻富士でも見て死ねってのかよ!死に方は問わぬだって?嘘言えよ、死ぬのをしくじらないように、お前さっき俺に毒盛ったろ?頭痛薬だってくれたカプセル、青酸カリ入りだったんだろ?そうだろ?俺、胃酸過多なんだよ。3時間持たないかもしんねえ・・・。

面白いか?そうだろうな。

お前ってそういう奴だよな。俺が砂漠で渇いているときにカラムーチョだけ山ほどヘリから投下するような奴だよな。

くそ〜携帯も電源切れちまったからタクシーも呼べやしねえ。歩いて降りるには人家も遠い。

お前、俺を助ける気なんかないよな。

夏至近いっていうのにやっぱり夜明け前は冷えるな。さすが日本の北の端だけのことはあるよな。

ところで、お前、誰だったっけ?何でここにいるんだ?何度か遭ったことがあるのにな。昔なじみだよなあ、俺たち。

・・・ところで俺、何でここにいるんだっけ。何でお前と一緒にいるんだ?

・・・・・・そうだ、思い出して来た・・・。懐かしい筈だよな。お前だからな。

ああ、もうじき夜明けだな。

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◎◇す女王様ご臨終 くろス - 2002/05/29(Wed) 06:07 No.309       

北の大地にて孤独発狂死。周囲の者が案じていた如く、現世での罪を一切贖わずに「つぼみのまま」逝かれました。種々の理由で発見が遅れたため、ご遺体はまるで砂漠に放置されたマカデミアナッツチョコレートのように完膚無きまでにとろけて、かつての美肌見る影も形もクソも無く(失礼)、今や「ナッツならぬ遺骨」が残るのみです。焼却の手間は省けたというものの、何という悲惨な結末だったことでしょう。このディオリッシモ混じりの強烈な腐乱臭を体感するだけでお分かりいただけるのですけど、そこに慰みの闖入する余地はありません。

ところがです。ご親族・ご友人の面々、さぞお悲しみでありましょうと思いきや、皆さん何事もなかったように笑顔でお通夜を楽しんでおられ、嬌声があちらこちらで炸裂する始末。まさにヴァルプルギスの夜。私はちょっぴりたじろぎましたが、いろいろと思い当たる節もなきにしもあらずということで、はぁ〜やはりそんなもんだろうな、と傍観している次第に御座います。

いわゆるひとつの予定調和なのかも知れません。決して運命のいたずらだなんて言わないで下さい。真実を看破しましょう。死すべくして死んだ人に祈りましょう。どうせあの世でも腺病質でいるに決まってるから、どうぞお大事に、ってことでよろしいかと。

そろそろ夜が明けます。どんちゃん騒ぎはとどまることを知りません。私は屋外に出、真っ当な世界に舞い戻り、上空を仰ぎました。ブロッケン山ならぬ利尻富士が、くすっ、と微笑んだように見えました。

****てス子でえす****

ご主人死んじゃったのね。たれちゃんこれからどうするのかなあ?いい人に引き取ってもらえるのかなあ?てス子それだけが心配なの。。

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ふっふっふお家乗っ取りなの! たれっち@かくして管理人 - 2002/05/29(Wed) 19:28 No.310       

利尻富士山頂で死んだのってご主人だったの?だって「俺」って言ってたじゃない?ご主人、普通、「わたし」とか「わたくし」とか言ってるんだけどなあ。まあ、事実としてご主人帰って来ないのね。だから、何処かでのたれ死んだのかもしれない・・・んじゃなくて、お空のお星になっんだねえ。

まあ、例の遺体は性別もわからないくらいにお肉もお骨もぼろぼろだったらしいし。骨にまでディオリッシモが染み込んでいたなんてねえ。そこまでご主人、徹底したお耽美だったかなあ?ああ、故人の悪口って言っちゃいけないんだよねえ。

まあ、そんなわけでぼく、正式にここの管理人になったから。よろしくねっ!

・・・・・あ、ご主人、帰って来ちゃった。今日のお夕飯はなあにい?え?ぼく別にパソコンで悪いことなんかしてないよお。


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