あまりに息苦しい雰囲気にクマが「あ、大丈夫ですよ。ちゃんと掘っときますから。」と言っても、おばあちゃんは全く動かない。こうしておばあちゃんによる完全監視のもと、私達の静かなイモ掘りは続いた。
こんなことなら、自分の家の庭にさつまいもを埋めて、
「うわぁーい!パパァ〜!イモがこんなに出てきたぁ〜!、うちの庭は底なしだねー!」
とイモ掘りごっこをしていた方がはるかにましだったようにも思う。

とにかくおばあちゃんはすごかった。
威圧感にも増してすごかったのは、時々ボソボソと話しかけてくる言葉の方だったのだから驚きである。
例えばこんな風に…。

「どう?イモある?何といってもここはとにかく日当たりが悪いから…。」
―日当たりの良いあっちの畑でなく、わざわざこっちで掘らしてくれてありがとう。

「今年は団体さんがものすごい多いんよ…。ねぇ…、そうやって大勢で来てくれたら楽やけど…。」
―すんません、3人で来て。

「イモはどう?ある?できてる?」
―ま、まだ言うか…。

とまあこんな感じで、おばあちゃんから放たれるパンチのきいた言葉の数々に、私達のやる気はとことん削がれていった。

そうこうするうち、おばあちゃんの孫(曾孫?)がやってきてウロウロし始めた。
「あんたも掘るか?」とおばあちゃん。
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