そして何の変化もなく1時間くらいが過ぎた。
その時である。何を思ったのかクマは急に無言で立ち上がり、スタスタと隣の部屋に歩いて行く。言葉をかけづらいほどの深刻な眼差しに、ただ「どうしたんだろう?」とだけ私が思っていると、その瞬間、隣の部屋から「フッフッ!ンッフッ!」というクマの激しい息遣いが聞こえてきた。
なんだなんだ…?
ひ、ひえぇ〜!!シャドーボクシングしてるよー!
そうなのだ、クマは突然シャドーボクシングを始めていたのだ。
イライラしているに違いない。とにかくストレスがたまってきているに違いない。そうなんだろ?
細かい作業の連続に嫌気がさしてイライラがつのり、思わずどこかで発散したくなったんだろ?
だから向いてないって言ったのに…。
やめれば?と言っても、まだ「これが男のロマンなんだ!」というので、絶対違うとは思いつつ、おもしろかったのでそのままにしておくと、それからも数十分ごとに無言で立ち上がっては隣の部屋でシャドーボクシングを始め、最後の方には「ヤッヤッ、ヤーッ!」など声まで出しながら拳を振り回していた。
だから、イライラしてるんでしょ…?
もうやめたいんでしょ?
何度言ってみても、「最後まで作る」と、まるで罰ゲームをしているかのように渋々とまた作り出す。
そして、嫌々作る→シャドーボクシング→嫌々作る→シャドーボクシング(時には腹筋)を何度も繰り返し、ようやくなんとか作り終えた。
→続きを読む