旅行当日。その日は朝から雨だったが、「まあまあこんな小雨くらいだったらなんとでもなる。」とクマと話しながら出発した。
着いてからすぐに砂浜に遊びに出てみたのだが、この頃から雲行きがますますあやしくなってきた。足元にきた波をジャンプして飛び越えるのを楽しみにしていたカシオも、結局3回くらいジャンプしただけでそそくさと退散。帰りの道中、「うみ いったしー、ジャンプ したしー」と、海での滞在時間わずか3分程度にもかかわらず、充分遊んだ気になって何度もこう言うカシオが不憫でしょうがなかった。
こりゃ、いよいよ缶詰めだな…。
強烈な雨とひっきりなしに鳴る雷に、そのホテルにいたみんながそう思っていたように思う。遊びに行けない旅行客は我れ先にと卓球だカラオケだと予約しまくり、私達が確認した時には何一つ予約できるものはなくなっていた。
こうなったら温泉しかない。本来なら絶対入らないような中途半端な時間にしかたなく温泉に入る事にしたのだが、一人だけ遊ぶ気マンマンのカシオ。しょうがないのでその気をおさえるべくして、とりあえずカシオとクマはホテル内にあるゲームコーナーへと向かった。
そのゲームコーナーには、そんなに数多くゲーム機を設置していなく、中でもカシオが楽しめそうな簡単なものは1つか2つくらいしかなかった。それでもカシオは楽し気にささやかに遊んでいたというのに、そのわずかな楽しみすら残酷にも取り上げられる事態となった。
ゴロゴロ… ドコォンッ!
あれ?と思う間もなく、その音とともにゲームコーナーは停電し、真っ暗になったのだ。
→続きを読む