でもさすがに私が見込んだ(?)だけのことはある。彼女は全く怪しがりもせず、ひるみもせず
「これですか?」
と言って、戻しかけた本を再び自分に近付け再度あらすじを読んでいた。
私はその素直さに完全にやられ、思わず頭をポリポリかいてしまうほどこそばがゆい感じがして、そのまま何も言わずに店を出た。

若い女の子の純粋さにふれ、何やらこっぱずかしくなってその場を後にするなど、まさにおっさんの域に達している。違う意味でも怪しい奴である。

この間もそうだ。
近所に、小さいけれどおいしいソフトクリーム屋さんができたので、私はちょこちょこそこに通い、とりあえず全種類制覇しようと試みている最中だった。その日もちょうど私が注文したソフトクリームを待っている間に、子供連れのお母さんが二人来て、
「いやぁ、おいしそう。どれにする?」
と二人で話し合っていた。
とその瞬間、またまた私は怪しい奴に変身した。
「オレンジがおいしいですよ。」
きゃぁー、まただよ。またスイッチが入っちゃったよ。→続きを読む