もしそんなことがあるというのなら、きっとその時の私の頭には、自分に向かって手をのばす子供の映像が流れ続けているのだろう。

今は「自分の所有物じゃない」と完全に理解している。しかしこれからもずっとそう思い続けていけるのだろうか?私は時々考える。
例えばこうだ。突然カシオが「誰も足を踏み入れたことのない原始林に仕事で3年間生活することになった。」と言い出したら?そんな突拍子もないことでなくてもいい、この心配性の私には「冬山登山をするんだ。」の一言でも充分だ。それでも「行っといでー」と一言言えるのか?「あなたの人生だから好きにすればいいよ」と言えるのか?子供が大きくなればなる程、どんどん親の手から離れていくのだからきれいごとではすまされなくなる。それでも私はその時「子供の人生だから」とすんなり言ってのけることができるだろうか。

そんな、人に言ったら笑われるくらい先の先のまだずっと先のことを考える時、私にはいつも思い出す言葉がある。それは妊娠中、助産婦さんが言っていた言葉、
「子供は社会からの預かりもの。時がきたらお返ししなくちゃいけない」
というものだ。
私にとってこの言葉は、厳しく、ちょっと寂しいけれど、とても大切な言葉でもある。
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