カシオがあまりにも気持ち良さそうに寝ていたので、もうすぐ家に着きそうだったがそのままドライブすることにした。
さて、どこに行こう。
私の手はなつかしさの沢山つまっている生家の方向へとハンドルをきっていた。

毎日のように学校帰りに寄っていた文房具店はすでになく、人っ子一人いないような洋服店にかわっていた。
ここのおじさんは私達が立ち寄るたびに冷たいお茶やカルピスを出してくれ、さりげなくクーラーの風を強くしてくれたっけ。私達がたまに購入するのは、消しゴム1個やノート1冊だったけれど、子供なりに「文房具を買うならここで」とみんな義理堅く思っていたものだ。
近所にあったタバコ屋さんはいまだに健在だった。おばちゃんの髪の毛はまだ紫色なんだろうか?
小学生だった私はおばちゃんの髪の色が不思議でしょうがなく、子供ならではの無神経さと率直さを武器に
「おばちゃんの髪、どうして紫色なの?」と質問したことがある。
すると「紫色になるシャンプーを使ってるから。」
との答えだったが、当時の私にはわざわざ紫色にしたいおばちゃんの気持ちが全くわからなかった。もちろん今でもわからない。
あぁ、公園だ…。
夏休みの間に2日間だけ開かれる盆踊り。ここぞとばかりにヤンキーが集まりに集まってきて、公園に向かうまでの幅広い坂の両側はヤンキー座りをしているお兄さんお姉さんでいっぱいだった。
毎年、決して目は合わさず、しかし不自然には見えないよう歩くのにとても苦労したものだ。
子供にこんな気をつかわせるものではない。
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