角川書店さん最高!装丁もシンプルでいい感じだし(下部の絵は全て帯)、何よりこのシリーズの企画自体に感動です。昔からある名作を現代作家と画家のコラボレーションによって新たに作られた作品達。例えば芥川龍之介著「河童」は、戯作:原田宗典、画作:荒井良二らの手によってちょっと新しい「河童」となって蘇っています。文章に絵を加えたことで、サラッと読めてしまうところが不思議です。まさにこのでっかい帯にあるように「ちょっと大人な絵本」という感じでしょうか。
私が「河童」の原文を読んだのは学生時代のことです。キッカケは授業中ある先生が突然「河童」の話を持ち出し、「自分が常識だと思っていることでも、それは結局この世界の中での事。別の世界では常識も常識でなくなるのかもしれない。そんなことに気付かせてくれる小説だ」みたいなことを言っていました。そこでちょっと興味を持ち、読んでみることにしたのです。
これを読むと、例えば、人それぞれの価値観に左右されないぐらい当たり前だと思っていることでさえ、一歩違った別の世界では当たり前でなくなるのかもなと確かに

思わされました。河童界の理不尽に思える常識も、それは当然、人間界にいる私が思う理不尽なわけですね。
テレビのニュースで知ったので結局はマスコミを通
じた情報ではありますが、実はこの「河童」と私を結び付けてくれた先生は、その数年後ストーカー行為を行ったということで逮捕されました。
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