かなちゃんの家にブルドッグのブルくんがやってきた。
かなちゃんは怖がってしまい、いつまでたってもブルくんと仲良くなれない。
それでも一生懸命仲良くなろうと頑張るブルくん…。
でもついに諦めたブルくんは「かなちゃんがなくから…」と犬小屋から出てこなくなった。
そしてそれを見たかなちゃんは、そうっと食べかけのドーナツをブルくんに…。

きっとかなちゃんだって途中でわかっていたと思う。
ブルくんは自分と仲良くなりたがってて、しかも全く怖くもない存在だって。
でも一度拒絶するような態度をとってしまったらなかなかそれをくつがえすことが難しい時ってある。相手が一生懸命コミュニケーションをとろうとしてくれるから、よけいに頑になってしまうのだ。
ケンカした時などもそう、すでに自分が何に対して怒っているのかわからなくなっているくらい、心がぼやけてしまっていても、それまでの流れを変えるきっかけがなかったりして、そのまま意地になり仲直りできなかったり…。

でもかなちゃんとブルくんはドーナツで仲良くなれた。

当たり前の話だが、これが大人の世界だと話はややこしい。
なかなか食べかけのドーナツでは仲良くなれないのである。
否が応でも長年かけて少しずつ凝り固まってきた大人の心は少し複雑で、意地やプライド、見栄や虚勢などなど、色んな感情が沢山はりつき、あっさりと「ごめんね」と言いたくても言えない時がある。
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