だからこそ、その素晴らしさにも尊さにも気付けなかったのだ。
弱い、強いは抜きにしても、真剣に打ち込んだ者、真剣に愛した者にしか到達でき得ない感情というものがあるはずなのだ。


もし、この小説を当時の私が読んでいたら陸上への向き合い方も変わっていただろうか…?

それは想像することしかできないけれど、きっと、きっと何かが違っていたのではないかと思う。
なぜなら、100mすら走れるのか?というような体になっている今でさえ、この小説を読むと走りたくなってくるのだから。
読んだだけで彼らほど陸上を愛せていたとは到底思えないけれど、でも間違いなく何かは違っていたと思う。

この小説は、学校でスポーツ(部活)をしているという人にぜひとも読んでほしい。
昔スポーツをやっていたという人にもぜひ読んでほしい。
もちろん、スポーツに無縁だった人でも十分楽しめる本だと思う。

王道であろうが、くさいと言われようが、私はやっぱり、まっすぐで熱い人間を書いた物語を読むのが大好きなのだ。