転換期 ショーンとジャレットはインユアハウス2で激突し、二人の技術を見せる好試合の末に、ショーンが3度目のITC王座獲得を果たした。ベルトを獲得すると、そのベルトを巡って、旧敵であるシッドやラモンとの戦いが始まった。
ショーンとラモンはサマースラム95で対戦することになり、試合形式はまだ記憶に新しいラダーマッチとなった。試合は前回と同じような、まさに名勝負となったが、結果は前回と違っており、ショーンが勝利を収めた。この試合でショーンは2年連続同カードでベストマッチを受賞することになる。
ディーゼルとショーンは再びタッグを組み、ツー・デューズ・ウィズ・アティテュードというチーム名でヨコズナ&ブルドッグ(オーエンの代役)組とタッグタイトルマッチを行った。この試合には、全てのベルトが並んでいたことになる。ショーンとディーゼルはブルドッグを押さえて試合に勝ち、一時は二人で全ベルトを独占したが、翌日になって正チャンピオンのオーエンからフォールを奪ってないとして、2度目のタッグ王座獲得は幻となってしまう。
試練 この事件の詳細は知らされていないが、ブルドッグと1-2-3キッドとショーンの3人でナイトクラブに行き、外に止めてあった車の所で多数(WWFの公式発表では9人)の暴漢に襲われた。ブルドッグとキッドが羽交い締めにされている間に、ショーンが集中的に襲われてしまった。負傷のため10月22日付けでITC王座はディーン・ダグラスに譲歩され、さらにその日のうちにラモンがベルトを奪取した。
ショーンは医者の反対を押し切って数週間後に復帰し、世界ヘビー級を目指したが、マンデーナイト・ロウでのオーエンとの試合が組まれた。この試合で、ショーンはオーエンの延髄斬りを食らってリング上で倒れ、意識を失ってしまう。
ショーンはロイヤルランブル96で復帰した。世界ヘビー級に挑戦するためにも、バトルロイヤルには是が非でも優勝する必要があった。ショーンは12番目に入場し、最後は盟友ディーゼルをスウィート・チン・ミュージックでトップロープ越しに落として見事な2年連続優勝を飾った。ロイヤルランブル連続優勝は、ハルク・ホーガンが90・91年に達成して以来だった。これでレッスルマニア12では、ショーンがヒットマンの世界ヘビー級に挑戦することが決定した。 レッスルマニア12ではヒットマンとショーンは、60分のアイアンマンマッチで対戦することになった。この過酷な試合のため、ショーンは故郷サンアントニオに帰って昔のトレーナーであるホセを呼んだ。これ以降、ホセはショーンのセコンドにつくようになる。またWWFも、ショーンの少年時代の夢はWWFチャンプになることだった、として師弟愛物語を大いにあおった。
世界チャンピオン 引き分けでヒットマンの防衛かと思われたが、ゴリラ・モンスーン会長によってサドンデス方式による延長戦を決定された。ヒットマンは納得できない表情ながらもリングに上がり、延長戦が始まった。延長戦開始から1分30秒後にショーンのスウィート・チン・ミュージックが決まり、ついにWWF世界ヘビー級の初戴冠を果たした。また、この試合は97年のベストマッチに選ばれ、ショーンは何と3年連続で選ばれるという快挙となった。 ヒットマンはこの試合の後、8ヶ月間欠場することになる。表向きの理由は、先の試合での判定に不服を持ったからであるが、実際の理由の一つとしては、彼が“クリック”を嫌っていたことが挙げられる。クリックはショーン、ディーゼル、ラモン、ハンター・ハースト・ヘルムスリー(以下、HHH)、1-2-3キッドによる徒党で、リング外でも親友同士であった。そして、彼らがブッキングの面でも大きな力を持っていたことは明かであった。
ディーゼルはロイヤルランブルの後、再びヒールに転向し、ショーンを非難していた。これは、ショーン&ディーゼルvsヒットマン&アンダーテイカーの試合で、ディーゼルがイスを使った激しい攻撃をしたことが発端となった。これによって、ショーンとディーゼルの間に短いが激しい抗争が起こり、最終的には5月のインユアハウス8でショーンが勝利を収めた。
次はベイダーがショーンを倒すべく登場した。彼はタッグマッチではショーンからピンフォールを奪ったが、サマースラム96でのシングルマッチでは、2度の延長戦の末にショーンが勝利を収めた。 次の抗争相手として、ショーンに復讐を誓うサイコ・シッドが登場し、サバイバーシリーズ96で一騎打ちが実現した。この試合で、シッドはセコンドのホセをテレビカメラで殴った。そしてショーンがホセに注意を注いでいるうちに、パワーボムを決めて勝利を収め、タイトルを強奪した。 ヒットマンはサバイバーシリーズ96で復帰し、WWFを悪い方向に向かわせているとして、ショーンを強烈に非難した。そして、インユアハウス12ではショーンを破ったシッドに挑戦することになった。二人のスーパースターの直接対戦が着々と進んでいるかのように見えたが、実際には直接対決はこの1年後まで待たねばならなかった。インユアハウス12で、ヒットマンのベルト奪取はならなかった。 ショーンはシッドへのリマッチを、ショーンの地元であるテキサス・サンアントニオで行われるロイヤルランブル97で実現させた。今度はショーンがカメラを使って勝利を収め、地元の観客6万人の前で、2度目のWWF世界ヘビー級の獲得に成功した。これで、ショーンとヒットマンのドリームマッチがレッスルマニア13で実現されるかに見えたが、97年2月13日のサーズデイ・ロウで、ショーンは右膝のケガを理由にベルトを返上してしまう。そして、「引退もありえる」と涙ながらに語ったのだった。
胎動 ヒットマンとの抗争はまだ続いており、ヒットマンや後に結成されるハート・ファウンデーションは、ことあるごとにショーンを批判・攻撃した。 スティーブ・オースチンはヒットマンとの抗争でスポットライトを浴び、トップ戦線に急浮上していた。ショーンは深い考えもなしに、打倒ハート・ファウンデーションのためにオースチンとタッグを組むことにした。5月25日のロウ・イズ・ウォーで、ショーンとオースチンはオーエン&ブルドッグ組を破り、タッグ王座を獲得した。この試合は、ロウ史上に残るタッグマッチとなった。 ショーンとオースチンは二人ともキングオブザリングに出場し、いきなり直接対決が組まれたが、あっという間にノーコンテストとなり、両者失格になった。これで二人は仲間割れを起こし、タッグ王座は早々に返上される。
6月9日、ロウ・イズ・ウォー収録前のロッカールームでヒットマンとショーンは乱闘になり、ショーンは膝と首を負傷した。ショーンは戦線を離脱し、二度とWWFに戻らないと誓った。
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