ひぃ〜!き、聞こえる。なんか聞こえる。
やっぱりオスもゴキブリと一緒だよ〜。同じ音だよ〜。

ブツブツがゾワゾワへと変化し、私の鳥肌は絶好調。
勇気を出して音のした方を見てみると、ブラインドが少し揺れている。
ゾワゾワゾワワワワ…。
もう指の先まで鳥肌がたちそうだった。

こわごわ近付いて見てみると、案の定ブラインドに絡まっているクワガタを発見。
もう私は安心した思いと、恐怖と、気持ち悪さと、とにかく色んな感情がごちゃ混ぜで、倒れる寸前だった。
もちろん素手で触れるはずもなく、つるつるすべる割り箸でクワガタをはさんでケースにもどし、なんとか無事、オスクワガタはもとのお家にもどってきたのであった。
しかし、ドキドキしすぎた心臓、負の想像をしすぎた脳、冷や汗と鳥肌にすっぽりと包まれすぎた私の体は、もう疲れに疲れきり、結局その日一日いつもの調子に戻ることはなく、晩ご飯すらも作れなかった…。


それからは、相変わらず触れはしないがクワガタにも慣れ、順調に飼っていた私であったが、その数週間後、またまたクワガタの件でクマに電話をすることになる。

「もしもし? どうしよう!土に水をスプレーしようとして、リネン水をスプレーしてしまったぁ〜!どうしよう…、クワガタがものすごいいい匂いしてる〜!!」

信じてください。仕返しじゃないんです…。