そして、どれどれ…と実際に人形をはずしてみると確かに怒る。
「ふぅーー!!モウちゃん!モウちゃん!」といって、カシオは自分でウシを持ってきてクマに渡すのだ。
それからも隙をみてはずしてみては、それに気付いたカシオに戻され続け、いいかげん諦めたクマはすっかり抵抗するのをやめ、最後には
「え?私の手、何か変ですか?」
とサラリと言えるほど 人形をはめているのが当たり前のようになっていた。

そしてついにクマの大好きなご飯の時間。
私の「晩ご飯食べよー。」との声を聞いてクマは立ち上がったものの、何やらウシとカエルを持ったまま立ちすくんでいる。

「俺、食べられへんやん。」

麻痺してる…。はずせばいいだけなのに…。
それは君の手じゃないんだよ?人形なんだよ?

私は彼の真面目な悩みに、かつてないほど優しく答えた。
「はずせば食べられるんじゃない?」
と。