2001.04.17up

時間のタリナイ恋なんて・・・5

上郷  伊織

◇◇◇◇◇

 細い肩口に顔を埋めると、頬に触れた髪が濡れていた。
 いつだって岸上を挑発するような姿で現れるくせに、挑発などしていないとでも言うように、腕の中の愛しい生き物は、いつも何かに怯えたように自分を威嚇する。
 今日もそうだ。
 アーミージャケットと短パンという何処にでもいる子供のような格好をしていながら、服の中、透けるような白い肌に纏っていたのは黒いシルクのビキニパンツに女性モノの香水。少女と見まごうばかりの美貌がそんな真似をして目の前にいる。
 誘惑されるなと言う方がどうかしている。
 全ての衣服を取り去られても、その身を隠そうともしない不貞不貞しさで、腕の中の恋人は何か言いたげに岸上を睨み続けていた。
「会ってヤル事ってコレしかないのかよ・・・・・・・」
 凄みながら震える語尾が拒絶を訴える。
 拒絶するならば、抵抗すればいい。
 揺れる白い喉元がどこか初々しく感じられた。
「誘っているのはお前だ」
 申し訳程度に盛り上がった胸筋の頂は、ほんのりと赤く染め上げられ、その下に時折浮き出る肋が痛々しく映る。淫靡な魔力を秘めた未成熟な肉体は既に岸上を虜にしている。
「・・・・・性欲魔人」
 程良い形に整った薄紅色の唇からは、想像できない悪態が吐き出され、一層、征服欲を煽っていく。
 ベッドヘッドのスタンドだけがぼんやりと光を放つ室内で、生意気な少年は夜の住人へと変貌を遂げていく。
 薄闇に光を放つ小悪魔の瞳は吸い込むように、男を誘う。
「自然な事だろう」
 当の本人である聖は気付いているのだろうか?
 宥めるように唇を塞ぎ、弱い所を責め立てれば、しっとりとした肌理細かな肌はほんのりと色付き始めた。
 革ひもで一つに纏めた背に掛かる長い巻き毛はハラハラと乱れ、上気した肌に彩りを添えていく。
 下肢に触れた途端、華奢な体はビクリと跳ね、息づかいすら荒くなる。
 聖に性欲が無いとは言えまい。
 透明の雫をプックリと浮き上がらせた分身を口に含んでやると、小さな腰が僅かに揺れる。
 我慢などする必要はどこにもない。
 感じている自分自身を岸上に悟らせまいと、必死に堪える気の強さ。
 鼻っ柱を折って、泣かせてみたい衝動に駆られるのは岸上だけではないだろう・・・・。
「・・・・・・くっ、そ・・・、この・・・・・」
 苦しげな、それでいて艶めいた音色を奏でながら、まだ悪態を吐くのか、このガキは・・・・。
 たまには可愛い言葉を吐かせたいモノだが・・・・・・。
 折角、仕事を早めに切り上げたのは何の為なのか、岸上はむなしさを感じていた。
 それでも、この手応えのある性格を愛しいと思うのだから仕方がない。
 岸上は華奢な肢体に奉仕の限りを尽くした。
 聖が悪態を吐くのは照れから来るモノだと、十分に理解しているハズだった。
 それすらも可愛く思えて、限界を訴える先端に軽く歯を立てる。
「・・・ん・・・ぁ・・、・・・・・・・エ・・ロ・ジジイ」
 だが、聞き捨てならない言葉と共に聖は精を吐き出した。

 そして、岸上は暗い衝動に駆られた。
                         

つづく

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コメント

こんなのいいのかな?
よくわかんないや。
でもさ、Hも頑張ろかな? って思ったのさ。