第3話 悲しき雨音
 

サンデー掲載号:昭和53(1978)年41号  コミック:1巻-3  ワイド版:1巻-3  文庫版:1巻-3
しのぶの出番:△ 魅力:○ 活躍:△ 印象:△

 

   

 …3話目にして、一挙に出番が少なくなってしまいました。二回だけの登場で、しかも怒っている場面ばかりです。しかし、怒っているのもそれはそれでかわいいと思ったり…。特に一回目の登場の時は怒りに切実な思いが感じられ(その切実さは当然ですね。それなのにあたるは…)、印象に残ります。
 
 出番が少なくなったのはもちろんラムが再び登場したからでしょう。そのラム再登場の理由として、読者の人気が高かったためとされる場合がありますが、まだ3話目であることを考えるとそれは時間的に無理なのではないでしょうか。1話目が発売され、読者の反応が出てから描き始めたのでは間に合いそうにありません。もちろんサンデー関係者の間で人気が高かったということはあるかもしれません。しかしそうだとすると今度は逆に、はじめからラムが人気だとわかっていたことになり、それを承知で第1話だけの登場としたのに、なぜいまとなって変えたのかということになります。
 そのため、留美子先生自身がサンデーグラフィックス・スペシャル[うる星やつら・完結篇](小学館)p86で「ところが3話目のコンテで煮つまりまくった。進退きわまってしまって、"あの娘(こ)を使おう"と、再登場させたわけです。」と言っているように、話を進める都合上と考えるほうが良いと思います。悔しいですが、ラムのほうが話を作り出しやすいは確かだと思います。
 
 今回はじめて学校が出てきます(学校名はまだ不明)。しのぶのセーラー服姿登場〜。
 学校がはじめて出てきたということは、前の2話は夏休み中の出来事だったのでしょうか。

 

  <しのぶに関係する名台詞> 
    ・だめっ !! ラムなんか呼んじゃだめよ !! 今度こそとりつかれるわよ !!!
(4ページ目)
切実な叫びです。「とりつかれる」とは大袈裟にも思えますが、ラムの執着力を考えると適切な言葉かもしれません。
 
・鬼に食われて死んじまえーっ !!
(5ページ目)
また面白い表現です。きつい言葉になってしまったのは仕方ないですね。
 
・きく耳もたん !!
(20ページ目)
これもまた、しのぶからして見ると当然ではありますね。私個人としてはこのきっぱりした態度にも魅力を感じたりします。本人にとっては悲惨なことで、傍から見ているからそんなことを言えるのでしょうけれども。

 

  <しのぶの怪力>
    ・あたるの顔に手形を残す(実際のシーンはなし)
(4ページ目と5ページ目の間)
数学のカンニングにつられてラムを呼ぶことに同意したことに怒って

※どうやらあたるに対して激しく怒りを感じる時、このような力が発揮されるようです。

 

  <しのぶ関連以外で気になること> 
     あのアニメで有名なメガネの原型キャラが出てきます。初登場時からいかにもと思います。ただ、メガネ以外の人は顔が少し違うようです。
 
 星間タクシーの料金請求が大変なものになってしまった理由としては、いわゆる「ぼったくり」と、地球の資源に価値がないためというふたつの理由が考えられます。
 なお、ラムの登場のタイミングが良すぎるので、同居を同意させるために星間タクシー運転手と示し合わせてこの騒動をしかけたという意地悪い考えも出てくるかもしれません。しかし、ラム(あるいは鬼族全体)はそこまで手の込んだ策をめぐらすことはできない気がます。それに、そもそもラムを呼び寄せる儀式がおこなわれたり、あたるが「うちにかえる」と言ったりするなどの、その策を成功させるための条件がいろいろと必要となり、そこまで計画するのは無理があると思います。
 問題はラムが無意識のうちにそんな疑念を抱かせるような行動をしてしまう傾向があることなのではと思います。
 
 UFO(星間タクシー)が諸星家の上に現れた時の「また諸星さんとこの息子がかかわってる !!」という表現が気になります。明らかに迷惑がっている感じですね。前回のことは、見事鬼ごっこに勝って侵略を撃退したというものなのに…。あたるが英雄視されないのは石油騒動のためとも言われますが、もちろんこの時はその騒動の前(直前)です。
 どうやら石油騒動以前にも、英雄の地位が取り消されるような何らかの騒動があったのかもしれません。それはやはり一度地球を去ってもらう段階のことだと思います。ということは、私が第2話の時に書いた考えはまだまだ甘いのかもしれません。
  

 

第4話 あなたにあげる

  サンデー掲載号:昭和53(1978)年42号  コミック:1巻-4  ワイド版:1巻-4  文庫版:1巻-4
しのぶの出番:△ 魅力:○ 活躍:△ 印象:○

 

     サクラさん登場の回で、またまた出番が少ないです。しかもテレビの中、回想、ひとコマの顔がはっきり見えない姿という登場の仕方です。しかしながら、インパクトはあると思います。
 まずは泣きながらの駆け落ち宣言です(実行されていたらどうなっていたのでしょうか)。次に、机投げの初登場です。そして最後は、あたるを心配して泣き伏しています。
 しかし、気になるのはあたるの態度です。人間関係の考察【2】の(2)の真ん中あたりでも書きましたように、ラムだけでなく、しのぶからも逃れようとしています。さらには女好きの面が出てきたようで、サクラさんに対して積極的な行動に出たりしています。

 

  <しのぶに関係する名台詞>
    ・あたるくん !! わたしに連絡して !! ラムのいる家に帰るのがいやなんでしょ!ふたりでどこか遠くへ逃げましょう !!
(4ページ目)
テレビで堂々と言うとは、この頃のしのぶは結構積極的な気がします。しかしタイミングが悪いですし、あたるの目の前で言っているわけではないところで考えてしまいます。 
 
・わーっ!ひどいわ!ひどいわ! わたしにあてつけてるのよーっ!
(9ページ目)
これに関しては気持ちはわかるのですが、ちょっとあたるに対して冷たい結果となってしまったように思います。しかしこの言葉こそ、この頃のしのぶの特徴をよく表しているように思います。

 

  <しのぶの怪力>
    ・あたるに机を投げつける、さらにそれを何回か あたるは机の下に
(10ページ目)
ラムとあたるのキス(ラムが強引にした)に怒って

※初机投げです。もっとも、単に机を投げるだけで、力はまだ常人レベルをそんなに超えていないですし、机の山ができるほど投げた結果ではありますが、投げるのにかなり疲れてしまった様子です。

 

  <しのぶ関連以外で気になること>
     サクラの母は錯乱坊に似ていて、とても親子には見えませんが…。実はサクラさんも年をとると縮まって……いや、父親のほうがサクラさんに似ているのでしょう……そう信じます。
  

 

第5話 絶体絶命

 

サンデー掲載号:昭和53(1978)年39号  コミック:1巻-1  ワイド版:1巻-1  文庫版:1巻-1
しのぶの出番:○ 魅力:◎ 活躍:◎ 印象:○

 

   

 今回は、あたるとしのぶが会おうとするが、ラムに邪魔されて…という話です。
 前回では、あたるはしのぶからさえ逃れようとしていましたが、今回はかなり必死にしのぶに会おうとします。「この際はっきりいってやる!おれはしのぶがいいんだよ !! 」と断言し(ただ、ここまで強く言い切ったのは残念ながらこれが最後なのですよね…)、ラムを家から追い出し、しのぶと電話で会う約束をしようとします。
 それに対してしのぶは迷っています。(前回はしのぶが熱心だったのに…。どうも間が悪いというかタイミングが合わないというか…。この「間の悪さ」がふたりの関係をおかしくしていったのかもしれません。)あたるに対して疑いを持ちはじめているようです。それはラムの行動のためで、このような状況では無理もないことなのですが…。
 それでもあたるの必死な説得により、しのぶはあたるを信じ、会う約束をしました。そしてあたるは、「たとえ死んでもしのぶにあうのだ !! 」とまで言い、雷が襲ってくる中を文字通り命がけでしのぶに会いに向かいます。しのぶも同じく「雷の中をかいくぐって」やって来て、ふたりは見事会うことができたのです。なんという愛の物語……のはずだったのですが…。
 
 当初はこの第5話で終了の予定だったようです(「最初は5回連載の予定」とサンデーグラフィックス・スペシャル[うる星やつら・完結篇](小学館)p86にあります。もちろん実際は以後も続いていくわけですが、次回とは少し間隔が開いています。いわばひとつの区切りだと思います)。その終わるかもしれなかった回が誤解されて終わるという形とは少し考えてしまいます。しかし、誤解で終わってしまったといっても、第1話の結末も同じようなもので、いつもの「絶交」宣言とそれほど変わらないと思います。
 
 しのぶの最後のセリフはタイトルのもとになっている歌からですね。他ではタイトルのもとの歌と関係ある場面はほとんどなかったように思いますので、珍しい例だと思います。しかし、歌とは違ってあたるはこの時点では「はっきり」としのぶを選んでいるのですが…。

 このあたりのしのぶの喜怒哀楽の表情には、大変魅力を感じます。

 しのぶの家の表札に「三宅」とあり、作品中ではじめて、しのぶの名字が出てきました。

 

  <しのぶに関係する名台詞>
    この際はっきりいってやる!おれはしのぶがいいんだよ !! (あたる)
(4ページ目)
この段階では、あたるにとってしのぶが1番だったのです。
 
わかったわ!あなたを信じるわ…………
(4ページ目)
あたるに疑いを持っていましたが、あたるの必死の言葉に心を動かされます。
 
たとえ死んでもしのぶにあうのだ !! (あたる)
(10ページ目)
強い言葉です。
 
どんな妨害も愛の前には無力なのよ〜 !!
(17ページ目)
「雷の中をかいくぐって」やって来て、ようやく会えた、そのことにより出てきた大変重い言葉です。
しかしながら…の結果になってしまうのですが、簡単に否定もできないと私は思っています。
この場では詳しく書けないですが、いずれ詳しく書きたいと思っています。


 

  <しのぶの怪力>
    あたるの頭をブロックなようなもので思いっきりなぐる
(20ページ目)
ラムとあたるが抱き合っているのをい見て(あたるはしのぶと間違えた)

 

  <しのぶ関連以外で気になること>
     黒電話はもちろんですが、それにカバーがついているのも懐かしいです。
   

 

 

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