し〜んとする部屋。
怒り狂う私を前に、クマとカシオは一言も発せず、動きすらも固まっていた。

くぅ〜!少女のごとくそのバッグ本を持ってルルル〜と浮かれていた本屋さんでの私はなんだったのか。
もしスカートをはいていたら、右手はスカートを、そして左手にはバッグ本を持ち、間違いなくクルクル
回っていたんだぞ?! あぁ…!!
しかし、しかしである、こんなことで楽しかった本屋さんでのひとときを台なしにしてはいけない。
私は必死になって自分に語りかけた。

まぁ、まぁ、落ち着け。それでも、そのことだけを除けば大・大・大満足の買い物だったではないか…。

って、いや、まてよ?  私、自分の買い物、本2冊だけ?

なんてことだ、私は本屋さんであまりに興奮してしまい、「この高ぶった気持ちのまま買ってしまったらどえらいことになる。」と、柄にもなく思ってしまった結果 がこれである。
なぜなんだ。なぜ普段、好き勝手に本を買い求めてる私が、わざわざ当分行けないような地で、本を買うのをケチってしまったのだ?

悔しくも、今ならその理由もわかる。それはきっと「いつもの自分ではなかったから」だ。
想像するに、おそらく違う意味で「舞い上がっていた」のではないか。しかし悲しくも、その時の舞い上がり方は極めて異質であり、その興奮し過ぎた感情のベクトルは「舞い下がる」と言い換えねばならぬ ほど、ひたすらストイックな方向へと突き進んでいたのだろう。→続きを読む