今年を一字であらわすと「災」という漢字だそうです。

本当に色々な災いが降りかかった一年だったな、と思います。
特に夏以降は「どうなっちゃうんだろう?」という感じがする災いが多かった。来年は少しでも明るい年になればいいなと思いながら、まだまだ生々しい国内外の傷跡が一日でも早く癒されることを願います。
とは言っても、例えば被災者の方々が受けた心の傷はそう簡単に静まるものではないようです(もちろん戦禍もそうです)。

僕の知り合いに10年前の阪神大震災で直接被害を受けた方がいますけど、その方は10年経とうとしている今でも、ちょっとした物音や臭い、工事現場の音や焼き場の臭いなど、思いもよらぬ言葉なんかがきっかけになって急に涙がとまらなくなったり体の震えがとまらなくなったりするそうです。頭ではわかっていても体が反応してしまう。よくいうPTSDというやつです。
例えば、その方からすると今回の震災には同情するし親身に考えたいのだけども、ニュースや情報を見るだけで押さえきれない症状がでてしまうそうです。それゆえのジレンマでまた内側にストレスが溜まってしまう。複合的に色々な傷が重なっているそうです。
絡んだ糸を丁寧に解くように、自分の傷と向き合っている様子。今年の様々な災いの被害者の方々も簡単には解決しない傷を受けられたと思います。
どうか新しい年が癒しの一年になりますように。

ひとつ記憶に残ることがありました。ご存知のとおり東京にもしつこく嵐がいくつもやってきました。集中豪雨もすごくて、横の川が氾濫しそうになって危うく車が浸水するところでした(非常水位のサイレンというものを今年は何回も聞きました)。
僕が住んでいるのは11階なので、もう建物自体が揺れるような感覚になってしまうくらいの嵐も何度かありました。もちろんベランダの物もふっとんでいきそうだったので、とにかくギリギリの応急処置でなんとかクリアしました。
そんな作業をしていたある夜、見慣れない影がうちのベランダにある。目を凝らすと、一羽の鳩がいたたまれない感じで雨風をしのごうとベランダの片隅にうずくまっている。どう考えても鳥でさえ飛べないような東京の空の荒れ具合だったのです。
もちろん僕の気配に気付いて、少しオロオロして、おののいていましたけど、、、そんな姿を見たら追い払えないでしょう?そ〜っとしておきました。
次の日の朝にはいなくなっていたんですけど、その場に残した糞の後始末が大変でした(笑)。嵐の後は大体快晴です。雲ひとつない青空を見上げながら糞掃除をしました。一時的にでもこのベランダで避難できたんだなぁ、なんて思っていたんです。この夏はヤツが何回もきました(オスとは限らないけど、、、)。天候が荒れる度にベランダの片隅の同じ場所で非難しているんです。
そしてまた僕は次の日に糞掃除。すこしでもその処理が遅れると、キツイ太陽光線のせいでカリカリにこびりついて糞が取れない取れない。普段は鳥なんか来ないベランダだったので、そのたびにせっせとお掃除お掃除。

12月4日の吉祥寺スターパインズカフェでの久しぶりのソロライブの夜、東京は深夜に嵐になりました。なぜいまどき?っていうくらいの季節はずれの強い強い雨風。深夜にピークを迎えました。 そして、夏場には何回も目にしていた例の鳩が久〜しぶりに現れました(笑)。おなじみのこの夏の定位置にいました。
奴にとってのシェルターになっているんでしょうね。一晩中必死に身を潜めていました。朝方近くに「もうヤツはいないかな?」とそぉ〜っとカーテンを開けたら、少し静まってきた嵐にホッとしたのか、少々リラックスしながらキョロキョロしてました。
「よかったなぁ、今回もしのげて、、、」なんて気持ちが頭を横切った瞬間、見事な糞をする瞬間を見てしまいましたぁ、、、、。

「まぁいいか、また大変な時はくればいいさぁ〜」これまた抜けるように青空が広がった次の日、山盛りの糞をせっせと掃除する僕がいました(笑)。しかし、量が多かったぁ、、、、。



2004/12/22 陣内大蔵


BACK NUMBER / 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
[更新]