2月11日に山口宇部で行われるスペシャルオリンピックス500万人トーチランに参加するために、前日の午後宇部へ向かいました。僕にしては珍しく?とってもいい天気で、その抜けるような冬の青空は、建物の低さも手伝って僕の瞳の奥底まで染み渡るようなスッキリさでした。「明日もこんな感じで晴れればいいなぁ」と一人つぶやきながら宿泊先へ。
 その日の夕方から夜にかけては、三月末のイベント「新長門市合併イベント」のスタッフとの打ち合わせを始め、いつくかの仕事モード予定が入っていたんですけど、思いのほか時間があまっている状態でした。でも一つだけこなさないといけない作業があって、それは九州ツアーの為に音資料と譜面や歌詞カードを速達で何通か宮崎に送らなければいけないというものでした。早速その準備をしてたんですけど、「ちょっとまてよ、こんなに時間があるし、こんなに天気がいいし、郵便局本局はそんなに離れていないし、明日は走らなきゃいけないし、ジョギングウエアもシューズもあるし、、、」と考えている内に、ウォーミングアップも兼ねて少し走ってやろうって気になってきました。片手に速達2通を掴んでゆっくりと走りだしたんです。距離は往復3キロコース。往路と復路の道順を変えてチンタラチンタラと、、、。宇部には仕事がらみで結構帰っているし、町の具合がどんな風に変わってきているかなんてことは把握しているつもりだったんですけど、やっぱり人生と同じで(?)スピードが変われば見えてくる風景も違うもんです。表通りばかり車窓から見ているのと、裏の小路を足で走るのでは大違い。そのプチウォーミングアップが思いのほか楽しい結果となりました。「えっ、○○君ちは変わらないままなんだぁ」「ここの公園にはたしか幅広い滑り台があったはず、、、あ〜まだあるぜぇ」「あれ、ここんちってバルコニーだけ新しくしてる」「マンホールの傷があのままだぁ」「そうそう、生まれて初めて入った喫茶店ってここだ」「この空き地で単車いじってたらマフラーで火傷したっけな」「ここの花壇は同じままだ」、、、、、。忘れかけていた思い出で、知らず知らず思いっきり寄り道したウォーミングアップでした。
 次の日の当日も実は同じ意味で楽しかったんです。宇部球場というところから新天町という場所までの3キロくらいの担当で、西村知美さんへバトンタッチするという役割。その道はいつも飛行場から街中へと行く道程なんで、頻繁に通っている場所でした。しかし地べたからの観察になるので新しい感覚で楽しかったんです。もちろんトーチランということも、アスリート達から沢山のエナジーをもらって、それはそれは豊かでした。沿道からの暖かい声援も素晴らしかったし、なんと中学時代の保健室の先生が大きな声を掛けてくれました。ビックリでしたけど、嬉しかったです。いやはや中坊の時は随分とズルして保健室にお世話になってましたからねぇ〜(笑)。
 街中を走り続けた聖火が、アスリート達と共に再び出発点の球場にもどってきました。前半の担当コースを伴走し終えた僕は球場で待ち受けていたんです。そして球場入り口からまた一緒に走り、最後に聖火台に点火というセレモニーが予定されていました。最後のトーチランナーの一人「ひろしくん」が僕と一緒に走ることに。既に走ってきているのに、ひろしくんはメチャクチャ元気で張り切ってます。他のトーチランナーのスピードよりすごく速く進んでいきます。「ひろしくんっ、皆をまって一緒に走ろうか?」と声をかけると「うんっ。わかったぁ!」と後続に足並みをそろえてくれました。その笑顔がたまらなく輝いてて素敵でした。
強い風が冷たい午後だったんですけど、何だか心がとっても暖かくなった一日でした。きつい日差しで鼻と唇がヒリヒリさせながら、ほんわかと帰りの飛行機に乗ったのでした。長野で始まる大会を僕なりに応援したいと思ってます。

陣内大蔵
2005/02/23 陣内大蔵


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