伝えられないこの想い

あなたを見る度に湧き起こる

伝えたいとは願うけれど

その都度何かに阻まれる

あなたのほんの少しの仕草を見るだけで

愛しく想う気持ちが抑えられなくなる


どうすればあなたは気付いてくれますか?

どうすれば私に振り向いてくれますか?

微笑みかけてくれますか?

私を・・・


この場所から先の言葉を続ける事がどうしても出来ない。ペン先をノートに付けはするものの、手が動こうとしない。

ふっと、肩の力を抜いてペンを机の上に置く。無理に書いていくようなものでもないから・・・。

「な〜に書いてるのっ?」

いきなり耳元で声がして、肩からぬっと顔が覗き込んでくる。

「わぁぁぁっ!?」

咄嗟に身体ごと覆い被さって、さっきまで綴っていたノートを隠す。こんな恥ずかしい物を見せられるはずがないもの。

「そんなに隠さなくってもいいじゃな〜い。ねねっ、見せて見せて〜っ。」

どうしても見たいのか、私の肩を揺さぶってねだってくる。けれど私だって絶対に見せるわけにはいきませんから、ここは耐えるのみです。

「ダメですっ。そんな見せるほどの物じゃないですからっ。」

「それを判断するのは書いた本人じゃなくて周りの人間。だから見せろ〜っ。」

なんとか諦めさせようと思ったけれど・・・逆効果だったみたい。さっきより激しく揺さぶってくるし、脇から手を入れて取ろうともしてくる。

あぅぅ〜・・・一体どうしましょう・・・?

「こらこらこら亜紀。そんなに引っ付いて美奈津を困らせるんじゃないよ。」

この声はもしかして・・・・ぱっと声のした方へ顔を向けてみると・・・やっぱり。

「あっ、麗〜。」

ショートヘアーの良く似合ってる、今はスカートを穿いてはいるけれどジーンズなんかを穿いちゃうと好青年に見えるぐらいの男性的な顔立ち。

私達はまだこの嶺稜高校(女子校)に入って1年目だから下級生なんてまだ居ないけど、中学の時は下級生から人気があったみたい。

私とは学校が違ったから、今麗さんと話してる亜紀さんから聞いた話だけど。

でも、そんな話も本当なんだな、って思う。だって、麗さんが前髪をかき上げたり、何かをしてる姿って本当にカッコ良くてついつい見惚れてしまうから。

「―――じゃないよね?」

「・・・え?」

いけない、いけない。麗さんに見惚れてて全く話を聞いてなかった。

「だよね?」

なんだか、とりあえず頷けって感じで顔を近づけてくる亜紀さん。なんの話なのか全然わからないから、曖昧な言葉しか出てこない。

「迷惑なら迷惑だってコイツには、はっきり言ってやったほうが良いよ。」

私の両肩に両手を乗せて、頷け〜って目で合図しながら手の力を込めて訴えかけてくる亜紀さんの様子に呆れながら麗さんが言う。

「べ、別に迷惑じゃないですよ?」

「ほら〜、言った通りじゃな〜い。」

「本当に?」

亜紀さんは胸を張ってそう言って、麗さんは少し怪訝な表情をしながら私に尋ねる。

「えぇ、本当です。」

邪険にするほどの事をされているわけじゃないし、なにより仲が良いからここまでしてくるのだと思うから迷惑なわけじゃない。

「そう・・・なら良いんだけどね。

 まっ、本当に嫌な時は本人には言い辛かったら私にでもいいから言ってね。」

そう言うと、ちらっと壁に掛かっている時計を見て自分のクラスへと戻って行った。私と亜紀さんは同じクラスだけど、麗さんは隣のクラスだから。

そんな様子をみて、亜紀さんがクスクスと笑い出した。

「麗ってば、美奈津のことばっかり気にかけてるね。」

「え?そんなこと・・・」

「そんなことないって?いやいやいや、ところがどっこい。そんなことないわけじゃあないんだな〜これが。」

楽しそうに亜紀さんが話す。私がどうして?って尋ねる前に、それにと言って亜紀さんが繋げる。

「美奈津も満更じゃないって感じだねぇ。実は麗の事が好きなんじゃない?」

・・・・・えぇーーーっ!!?なななななんでっ!?なんで知ってるの!?

私が動揺しているのを見て亜紀さんは笑いながら話を続ける。

「お〜動揺してる動揺してる。それにさっき書いてたのってさ・・・」

そこでチャイムが鳴って、先生が教室に入って来たので、亜紀さんはちっ、て小さく舌打ちして自分の席へとしぶしぶといった感じで戻って行った。

ちっ、て・・・・。少し恐いですね・・・。

挨拶をして授業が始まったけれど、うわのそらで全く身が入らなかった。

 

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