2002.01.27up

適切な処理

眠い・・・・・・


朝6時。


手には、友人から借りたノート。

目の前には、最寄りのコンビニ。

全ては。今日から始まるテストの為。

重いドアをゆっくり開いて、入り口横にあるコピー機の前でノートを広げた。



順調に作業を進めているうちに、だんだん思考もクリアになってきたみたいで。

そうなると、特に理由は無くとも店内をうろつきたくなるもの。



微かに聞こえる外の雑音。



朝のコンビニって好きなんだよね。

品揃いイイし。


客は俺1人。


店員もカウンターでぼんやり雑誌読んでるし。


統一感の無い売り物タチ。


少し邪魔な有線。


なんか、雑多な雰囲気が、俺の好み。






朝メシ買ってこうか、昼メシも。

あ、冬限定チョコ。俺食べてないヤツ。

油取り紙、雑誌も新しいの出てんじゃん。

そう言えば俺シャープ持ってないし。消しゴムもないし。芯もないし。


レジについて、目に止まったデラックス肉まんを追加注文。


「1306円デス」

え・・・・・・と。・・・あれ?

ないよ、ぜんぜんないよ、札しかないよしかも千円1枚だよ。

なんでだ・・・・・・?

100エンとか10エンとか、たくさんあったハズなのに。



少し考えて・・・・・・思い出した。


・・・・・・・・・・・・あ。


・・・・・・・・・・・・コピー代。



・・・・・・返却しなきゃなんないのか?うわ、サイアク。

店員も何も言わず、こっちを見てるだけ。ウザイ。


・・・・・・と、ここで。

俺の遊びゴコロが。


ただ返しに行くだけじゃつまんないし?


俺はニヤリと笑って店員に告げた。


「悪い、俺、さっきコピーで使って、1028円しかないんだわ。

残り、俺のコレで払っても、イイ?」

人差し指で、自分の唇を示しながら。


どうだ?


「・・・・・・・・・」

相手が何も言わないので、失敗したか?そう思い、チョコと雑誌を返しに行こうとすると。





――――あれ?





俺は何か柔らかいモノで口を覆われ、数秒後に解放されていた。

いや、何かって・・・・・・・・・ヤツの唇なんだけどさ。


「丁度イタダキマシタ」


顔はさっきの。

無表情のままで。


「次はちゃんと金、持ってきてくださいね。」




・・・・・・止まったままの脳がやっと動き出して最初に思ったことは。


・・・・・・・・・あ、278円得した。


だった。





入り口から出て行く瞬間。



――――――ありがとうございました。



やけに響く、

店員の声。




INDEX

コメント

ななちゃんに素敵な一品を頂いちゃいました。
日常にこんなスリリングでこじゃれた出来事が転がっていたら、毎日はとっても楽しいかも?
センスの光る小説をありがとう♪
彼はこの後もこのコンビニに通うんでしょ?
ね? ななちゃん?
センスの光る ななちゃんのサイトは  ココ