「ギトギト」から「すっきり」に至った現代陶芸作家の現在 ―――――――西宮市大谷記念美術館「田嶋悦子展」を見る(2017.7.22)西宮市大谷記念美術館の「田嶋悦子展」を見てきました。1990年前後に美術に関わる仕事をしていたので、田嶋悦子は懐かしい名前でした。 当時、若手の現代美術作家にして陶芸作家だった田嶋悦子が、 いったい、今どんな風になっているのか楽しみでもありました。 まず迎えてくれたのが、かつて80年代の現代美術をリードした兵庫県立近代美術館の「アートナウ」で発表された、 桃尻が成長し、増殖するような植物群「HIP ISLAND」です。 ギトギトするような生命感というか、エロさや若さがないまぜの力強い作品でした。 その脇には、近作の「FLOWERS」があって、アヤメを思わせる素焼きの白いがくに ガラスによる花弁のような造形がに天に向かう のびやかな花たちの群れが並びます。 すっきりとしつつも、かつての生命感を感じさせてくれました。 次の部屋では、代表作にして、素焼きと淡く彩られたガラスの組み合わせが美しい「CORNUCOPIA」のシリーズです。 そして、この展覧会のための新作、 紫陽花の葉を写し取った陶の葉に板ガラスが差し込まれたパーツが、展示台上に大量に並ぶ「RECORDS」。 さらに、次の小部屋には「HIP ISLAND」から「CORNUCOPIA」の転換点ともいえる、 「SANCTUARY」と、「CORNUCOPIA」の初期作品が並びます。 インスタレーションだけあって作品数は多くないけれど、 売り出し作、近作、代表作、新作、転換点と 鍵になる作品が並び、 田嶋悦子という作家を理解するのに必要な大事な作品はすべて押さえた展覧会でした。 展示室に入った瞬間、「ひゃあ、キレイ」と言ってしまいそうになるほどに。
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