レッスルマニア17の感想



今年も、私の個人的なレッスルマニアの感想を書いてみたいと思います。

その前に、ここ数年(3年弱くらい)のWWFの傾向として、
傾向1、試合内容は常に一定のレベルを保っている
傾向2、PPVの大小が無くなった
が挙げれると思います。

傾向1については、悪く言えばフィニッシュシーン以外はワンパターン、となるのですが、観客の期待を大きく裏切ることがないという点では評価できるのではないでしょうか。
傾向2について少し説明すると、WM14の一つ前のPPV(in your house 20)でのメインイベントは、HBK組vsストーンコールド組のタッグマッチでした(HBKの負傷で急遽変更されましたが)。つまりこのPPVでは、WM14の前哨戦がメインだったわけです。このように、昔はPPVへの力の入れ方(?)に大小があり、そこから5大PPVという概念が生まれていたわけです。
一方、今年のWM17の一つ前のPPV(No Way Out)では、ストーンコールドvsHHHという話の進め方によってはWMのメインに十分なり得るカードが組まれていました。つまり、今のWWFでは常に全力投入でPPVを開催しているということです。これはWWFの人気がなせる技なのでしょうが、これではWMの「プロレス界最大のイベント」という看板にクエスチョンマークがつくことになってしまいます。

私としては、この傾向2がすごく気に入らなくて、ここ2年間のWM15とWM16の満足度はイマイチです。「WMなんだからビッグゲスト呼ぶべきだ!」という考えなわけです。


今年のWM17でも特にビッグゲストはいませんでした(ギミックバトルロイヤル程度ではビッグではないです)。
しかし! 今年のWMでWWFが示したものは「WWFの底力」だったのです。

以下、私が気になった試合を見ていきます。

個人的ベストバウトはカード・アングルvsクリス・ベノワの一戦です。
試合開始から約5分にかけて、打撃技やロープワークを使わないアマレス的攻防が展開されました。両者の動きのめまぐるしさは凄まじく、こういう試合展開がWWFで見られるとは思っていませんでした。タックルは五輪金メダリストのカートの方が巧かったですが、プロレスのサブミッションという点ではベノワの方が上だったのでしょうか。
ある意味「日本ででもこんなの見れないよ」という内容でした。

WWFタッグ選手権のTLC戦は、昨年以来激しい試合を続けている3チームによる試合でしたが、期待に違わぬハードコアさでした。
特に空中スピアはもの凄かったですね。

ビンスvsシェインの試合も、(賛否両論でしょうが)面白かったです。
シェインのジャンプ力には驚かされました。あの距離のミサイルキックというのは史上最長ではないでしょうか。

ギミックバトルロイヤルはオールドファン向けでしょうか。
優勝はアイアン・シークでしたが、その勝因はトップロープから落ちれない程体調がわるかったことでしょうね。試合後にスローターとの遺恨が再燃(?)していたのも、オールドファンを意識してたのでしょう。

セミとメインはそれぞれアンダーテイカーvsHHH、ストーンコールドvsロックでした。
この2試合は、冒頭で挙げた傾向1が当てはまります。どのPPVでも保たれている一定のレベルが、WMででも保たれていました。


このように見てみると、今年のWMはカートvsベノワを筆頭に、ハードコア、オールドタイム、コミックマッチ、現在進行形のWWF、と色々な形のWWFが見れて、かつどれもレベルが高かったので、総合としては非常にいい興行だったのではないでしょうか。



メインではストーンコールドがヒール転向を果たしましたが、うまくヒールになりきれるかは微妙なところです。
というのも、彼は元々テクニシャンのヒールとして売り出され、その後にラフ系のベビーフェイスというキャラに転向していったレスラーです。このターンの原動力はファンの支持・歓声であり、決して首脳陣が意図したものではありません。
ベビーフェイスの頃もキャラクターはヒールのままでしたから(あえて違いを挙げれば、スタナーを決める相手を選んでいた)、ヒールを演じていても観客はベビーフェイスとしか見なさないかもしれません。エル・イホ・デル・サントのルード転向のようにならなければいいのですがね。


あと、これはWM17だけの話ではないのですが、ジェリー“ザ・キング”ローラーがWWFから離れてしまったというのは非常に残念なことだと思います。彼は、
度 : キング >>>>> 杉作J太郎(天然)
度 : キング = 三沢光晴(天然)
という素晴らしい解説者だったのですが…。



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4・9大阪ドーム大会



新日本プロレスの大阪ドーム大会が、全国区でゴールデンタイムに生中継されました。
昨年の4月にも新日本プロレスはゴールデン中継を実現させましたが、今のプロレス界の現状ではゴールデン中継を実現できるのは新日本だけ、と言えるでしょう。それだけに、一般層にも訴えかかるような内容を期待していたのですが……。
とりあえず、見ていきましょう。


まず、全試合を通して言えることとして、
1、 二時間の放送時間に六試合も詰め込んだため、試合時間が極めて短く、フィニッシュもあっさりしていた。
2、 セコンドが不必要な乱闘を繰り返していた。
3、 CMを入れるタイミングの悪さ、映す理由も無いアイドルを登場させた、などテレビ局側の失敗が目立った。
が挙げられます。

猪木軍vs新日本にテーマを絞るという意味では、長州−川田のタッグ対決とT2000−BATTのタッグ対決は必要なかったのではないでしょうか。永田vs中西は今の新日本を見せるという意味がありますが。
セコンド陣の介入がやたらと多かったのですが、こうなった原因としては、ZERO-ONEの旗揚げ戦で試合後の乱闘が評価された、猪木の指示で昭和プロレスの雰囲気を取り戻そうとしていた、などが考えられます。しかし、どの試合もそれほど殺気立ってもいないのに、あんなに乱入があっては逆にしらけてしまいます。
次に、各試合を順番に見ていきましょう。


(放送内での)第一試合はライガーvs村上でした。
この試合では、先ほど挙げた「テレビ局側の失敗」が炸裂してました。というのも、CM中に試合が終わってしまっていたのです。
CM明けにはすでに乱闘になっていましたし、マスクを取った瞬間をリプレイで流すなどの配慮もありませんでした。これでは視聴者は完全に置いてけぼりです。
この置いてけぼりの影響は解説席にも及んだようで、藤波社長がまたもや“迷言”を生んでしまいました。曰く、
「今回は、俺は絶対(試合を)止めないよ」
コレ言った時には、もう試合終わってたんですけど……。


次が長州組vs川田組です。この試合はその前の乱闘の割を食ってしまってましたね。まぁあの乱闘は、福岡ドームの宣伝だったのでしょうが。
試合結果は、長州が渕を押さえる無難なものでした。が、長州と川田の絡みはさすがにハイレベルで、また見たいと思わせるだけのものでした。
長州の会場人気は相変わらず高いし、ラリアットもすごいのですが、やっぱり私はこの選手が好きじゃないです。
終盤にタッチを受けるとすぐにラリアットを出すから、パートナーは長州の引き立て役にしかならない。人の攻撃はちゃんと食らわない(川田のキックに対して、当たらないように受け身を取ってました)。でも自分のラリアットは大きなモーションから繰り出す。すごーーく自己中心的ですよね。


永田vs中西。この試合はよかった方ではないでしょうか。
ただ、打撃技が多いのが気になりました。つまり、お互いにキックやチョップやストンピングや頭突きを単調に打ち合う時間があまりに長かったのです。
例えば永田なら、フィニッシュとしてナガタロックを使いたい、だから序盤から中盤にかけては相手の足をじっくり攻める、となっていれば試合に筋が通ることになるのですが、どうにも攻めがバカ正直に見えました。中西も、アルゼンチンをフィニッシュに用いるのであれば相手の腰に攻撃を集中する、などの試合展開での工夫が足りませんでした。
10分弱というタイム、ドームではグランドは映えない、テレビを意識して派手なアクションを増やした、などの理由から打撃技を多く用いたのかもしれませんが…。


T2000とBATTの対抗戦です。この日(未放映の試合も含めて)唯一の10分以上の試合です。でも6人タッグというのを考えると、それほど長くもないですけどね。
初顔合わせも多かったのに、試合としてはなかなかの好勝負でした。が、一番目立ったのは太陽ケア………、ではなくて解説席にいた馳浩でしょう。
入場シーンで登場したり、乱闘に加わったり、試合後に裏投げを連発し、勝者のように手を挙げたりと、テレビで見る限りは一人勝ち状態でした。
馳のレスラーとしての実力は極めて高いですし、コメントも的を得たものが多いのですが、私個人としてはこのおいしいところをちゃっかり持っていく性格が嫌いなんですよね。実況中にマサさんに怒られた事件が懐かしいです。


次はノートンvs藤田のIWGP戦。ノールールとのことですが、要するに3カウントとロープエスケープが無いってことですよね。
CM明けの段階では、ノートンが攻めてました。でも、3カウントがなかったらノートンは勝ちようがない感じです。で、攻撃を受けきった藤田がサブミッションを繰り出し始めると、ノートンは何もできずに敗れました。
藤田はノートンの攻撃を受けてたわけですが、あれは風車の理論のようないい物ではなくて、ただの時間稼ぎでした。


メインが橋本vs健介。
昔の新日本プロレスでは、新間寿(リングサイドに座っていた)が手を挙げると猪木が延髄斬りを出して試合を決める、というシーンがよくあったそうです。もちろん新間が手を挙げたのは、放送終了時刻が迫っていることの合図だったわけですが、この試合もそれを彷彿とさせるフィニッシュでした。
ダウンカウント中の相手に攻撃を加えるのはいけないはずだし(新日本のノールールのルールのことは、私はよく知りませんが)、タイガー服部のTKOの判断も随分早かったです。まあ、時間内に終るというのはいいことなのですが。
それより、橋本のパンチってどのくらいのものなんでしょうね? あの短い手じゃ何にもできないように思いますが…。いっつも途中でグローブ外しますしね。


ここ数年の新日本でのワースト興行というと99年8月29日の神宮球場大会を挙げる人が多いのですが、あの大会ではまだIWGPタッグ戦(小原・後藤vs永田・中西)という救いがありました。
しかし今回は、ダークマッチにもいいのがなかったようなので「救いは無し!」です。



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プロレスの音



プロレスの試合中には、様々な音が飛び交います。
マットが響く音、観客の歓声、レスラーがあげる声、体と体がぶつかり合う音……。
これらの中に、レスラー側が意図的に出す「効果音」というのもあります。

具体的な例を一つ挙げますと、WWFのロックは右手でパンチを出すと同時に、左手で自分の太股を叩いてパチンという音を出しています。これは典型的な効果音です。
他にも、打撃技を出すときに体を叩いて音を出すことや、ストンピングを出すときに蹴らない方の足でマットを踏んで音を出すことなどは、プロレスの試合では一般的に行われていることです。

プロレスラーは、会場の隅にいる観客までプロレスを伝えなければいけません。
そのための手段として、音が使われているということですね。
例えば、「ペチ」としか鳴らないチョップと「バチーーンッ」と音が鳴るチョップでは、観客に伝わる痛みには雲泥の差があります。やるからには常に「バチーーンッ」という音を鳴らすべきでしょう。


もちろん、技の威力と音の大きさが比例関係であるほどプロレスの技は単純ではありません。つまり、
今の技、いい音がしたからダメージも大きいのだろう」
などと考えるようでは、プロレスを見る目がまだまだ肥えていないということなわけです。

例えば、キック(いわゆる格闘キック)の時の音というのは、蹴りの威力の他にも、レガースをつけているかどうかや、相手のどの部分を蹴るかによって決まります。また、キックはディフェンスされてもいい音が鳴ります。
いつぞや、新日本プロレスの放送中に「橋本のキック音と高田のキックの音」について実況アナと解説者が話していることがありました。
胸板の広い部分を振り抜くように蹴る橋本のキックと、U系の動きから繰り出される高田のキックとは、全くといっていいほど別物であり、それを音によって同列で比べるなどというのはかなりマヌケな行為でした。



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