名興行を振り返る 第二回



私が独断と偏見で選んだ名興行を振り返ります。
第二回は、96年11月17日 のWWF・サバイバーシリーズ96です。


この大会のカードは以下の通りです。

1, ダグ・ファーナス&フィル・ラファン(ダニー・クロファット)&ゴッドウィンズ(ヘンリー &フィニウス )
vs
オーエン・ハート&ブリティッシュ・ブルドッグ&ニュー・ロッカーズ(マーティ・ジャネッティ&リーフ ・キャシディ )
2, アンダーテイカー
vs
マンカインド
3, マーク・メロ&ロッキー・メイビア&ジェイク・ロバーツ&バリー・ウィンダム
vs
HHH&ゴールダスト&クラッシュ&ジェリー・ローラー
4, ブレット・ハート
vs
スティーブ・オースチン
5, ヨコズナ&サヴィオ・ベガ&フラッシュ・ファンク(スコーピオ)&ジミー・スヌーカ
vs
ベイダー&ファルーク&レザー・ラモン(二代目/ビッグ・タイトン)&ディーゼル(二代目/ケイン)
6, ショーン・マイケルズ
vs
サイコ・シッド
ジミー・スヌーカやジェイク・ロバーツといったベテランや、ブレイク前のHHHやロック、懐かしの二代目ディーゼルと二代目レザー・ラモンなどが顔を並べています。
が、ここでお話しするのは4,ヒットマンvsストーンコールドと、6,ショーンvsシッドの2つです。


ヒットマンvsストーンコールドについてはここで詳しく書いたのでそちらを参照願いますが、この試合はヒットマンにとってもストーンコールドにとってもキャリアを代表するような名勝負であったと思います。

ショーンvsシッドもこれに劣らぬ名勝負で、ショーン・マイケルズ・イヤーであった96年を締めくくるに相応しい試合となります(フィニッシュが曖昧な形となったのは残念でしたが…)。試合として優れていた点を箇条書きにすると、
序盤のヘッドシサーズの攻防にて、シッドもニップアップを披露し、体格だけの選手ではないという主張をした
ショーンがシッドの足に狙いを絞ったことにより、試合に筋が通った
ショーンがシッドのパワーボムをかわす際(持ち上げる前の段階)、横に回転してそのまま場外にエスケープ、少し体勢を変えてスモールパッケージホールドへ、等ありそうでなかった形が披露された
両者がほぼ全ての持ち技を、然るべきタイミングで出したため、非常に流れのきれいな試合となった
シッドが大型のパワーファイターであるため、ショーンの素早さと受け身がよりクローズアップされた
となります。


こうして見ると、このサバイバーシリーズ96は、ヒットマンとショーンがそれぞれの試合で名勝負を残した大会であったと言えます。
実はこのヒットマンとショーンがお互いに名勝負をするというのは意外と珍しいことで、他に挙げるとすればWM10くらいしかありません。
その原因としては、「ブレイク時期の違い」と「二人の確執」が挙げられます。

シングルプレイヤーに転向したのは同じ91年でしたが、当時すでにトップレスラーとしての実力を備えていたヒットマンに対し、ショーンはまだ真の意味でのトップレスラーではありませんでした。
94年頃になると、ショーンもトップレスラーとなりますが、この頃からヒットマンとショーンとの対立が顕著となります。ショーンが活躍するとヒットマンが欠場したり、その逆だったり、あるいは地味な相手(失礼ながら名前を挙げればハクシやバックランド)と抗争して雌伏の期間になったりと。
つまるところ、明らかにメインイベンターであるのに、直接対決も間接的な対決(この大会のようにシングルを並べられる)も避けられてたわけです。

この時期のWWFを思い出せば、必ず名前が出るのがヒットマンとショーンです。その二人がそれぞれ持ち味を出したシングルマッチを披露したサバイバーシリーズ96は、大変贅沢な興行であったと言えるでしょう。



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