また、閉じていた
昨日置いておいた食べ物は少し減っていた
食べてくれたのだろう
「なぜ、扉を閉じるの?」
通じているのかさえ分からぬ問いを繰り返す
別に怒っているわけではない
ただ、興味があった
なぜ、いつも扉を閉めてしまうのか
ひっかかる
思考では、理解しえない
心のそこの部分
忘れてしまったもの
自分が問い続けていたものに対しての
解答へ繋がるなにかを見つけれる気がした
「なぜ、扉を開けるの?」
木々の奏でる緑の音色に調和するよう
静かな言葉が返ってきた
どうやら、言葉は、通じるらしい
「なぜって・・・でたくないの?籠の中から?」
「でたくないね、この中は、安全だ
敵に襲われることもないし
それに、外の世界に興味ないからね
翼をなくした僕にとって外の世界は大きすぎるよ」
「ずっと、その籠の中で生きるの?
確かに安全さ、その籠は丈夫にできてるからね
でも、それでいいの?
翼は、使えなくても歩くことはできる
飛ぶことと比べたら不便だし
危険だって多いとは思うけど
その中でいるよりは、多くの物を感じることができ・・・・・る」
昔
自分の信じているもの、考えているものが
正しいと思っていた頃の不安が蘇る
デジャビュー
前にこの光景を観た事がある気がした
そして、次に返ってくる言葉は・・・・・
「じゃ、なぜあなたはここにいるの?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「此処は、あなたのいるべき場所じゃないでしょ?
社会といわれるに程遠い場所
安全で、敵もいない
狭い狭い世界
僕の入ってる虫篭と一緒
なぜ、あなたはここにいるの?」
言い返せない
その通りだった
先の見えない
いつも不安ばかりが支配する
広い広すぎる世界から
この狭い世界に移ってきた者
私が私であるための物が否定され
社会の一部になることを強要される世界
傷つき、ぼろぼろになった翼
この翼では、この世界で生きていけない
いや、生きていく自信が無いだけかも・・・・・
「僕は、別に良いんだ
この中でも十分楽しめるよ
今まで、観た風景、人々
記憶を辿ればいつも新しい発見ができる
その時に気づかなかったこと
あの時にこうしていれば良かった
じゃ、そうしてみよう
そして創りあげる幻想
毎日が安全で楽しいよ」
・・・・・・・・・
私がいるこの島も一種の幻想
何も、言えない
何か言ったらそれは、妖精に言ってるのではなく
自分自身に言ってることになる
自分で自分を責めることになる
自分が逃げていることを認めることになる
確かに生活することに関して言えば
この島のほうが困難であろう
自分で、食料を摂取したりせなばならないから
だけど・・・・
敵、外的圧力、強要
都会には、当然あるものがここには、ない
生きることに関して言えば・・・・
楽だ
それから数日
私たちは、言葉なき共生の日々を過ごした