痛みを感じない
肉体的な痛みを
ただ、証明してほしい
今、自分は生きているのだと

確かに死んだはずだった
高い高い所から
ちゃんと下に堕ちた
すべてを無に返せるはずだった
だけど
なぜか生きていた
肉体は復元されないままに
昔美術館で観た
カネソタルニ作の
「悪魔に食わるる人々」という絵に
描かれている引き裂かれた人に似た自分
救急車が来て
病院に運ばれるや否や
すぐに、各種の検査
これほどまで破損した肉体でなぜ、生きる事が可能なのか
それを、医学的に検証する事にやっきになる医師達
飽きた・・・・・
そぉ思って病院を抜け出す
道を歩いていると
すれ違う人が誰一人例外なく悲鳴を上げ走っていく
無理も無い
化け物扱いされ警察にも追われる
それでも、なんとか逃げ切った
誰にも相手にされていない手入れのまったくされてない山奥
妙に共感できた
空腹も無い睡魔も襲ってこない
しかし、生きている
自分の意思があり自分を確認する事ができる
声も出せない
喉が壊れているようだ
手も使い物にならない
歩けたの奇跡なのだろう
いや、生きている事自体大きな奇跡なのだ
歩けるくらい奇跡というにはとるにたらないこと
葉々が触れあう音がする気がする
静かだ
全部嫌になって放り出したくなって
高いところから飛び降りる決意をして以降
こんなに静かさを感じたことは無かった
大きな無形の音がずっと耳の中でなり続けていた
死神の誘いとでも言うのだろうか
死というものを正当化してしまうような音
今は聴こえない
こんな姿になって自分は生きる気力を取り戻したのだろうか
しかし、受け入れてくれないだろう
社会が・・・・・・・
でも、食べなくても飲まなくても死ぬ事は無いんだ
じゃ、ここで一生過ごしていける
なんのために
なんのために生きるのだろう
自分を生かす責任すらも奪い取られ
すべての責任から免除された自分
何を根拠に自分の存在を証明できるだろうか
自分の思考以外それを証明できるものはなにも残っていない
思考だって怪しい
頭はつぶれている
なのになぜ、思考できる
だんだん分からなくなってきた
自分はほんとに生きているのだろうか
他人に自分は見えるらしい
だから、追いかけられたり悲鳴をあげられたのだ
そうか
それだ
自分の思考、意思すら信頼できない今
自分の生きている事を証明してくれるのは
他人だけだ
自分と異なる固体
悲鳴でも良い
逃げられても良い
誰かに自分を観てほしい
生きているって証明してほしい
誰か!!

暗闇
急に何故
観えない・・・・観えない!
何も観えない!!!!!!!


「価駕禰蔵山 深くでターゲット確認
眼を撃ちぬきましたが
未だ生存の様子
視覚を失い
反撃の兆しなし
今から捕獲してそちらに輸送します」