「明日あなたは、死にます」
この不吉な台詞を聞いたのが今から
2時間前の朝5時ごろ
ふと、眼が覚めたとき急に聴こえたから
寝ぼけていたのかもしれない
もしかしたら夢の中で聴いた言葉なのかもしれない
しかし、気になる
決して気分の良い台詞じゃないし・・・・
同日朝7時半
久しぶりに朝食をつくる
自分ひとりだけの狭い部屋の中
コーヒーの香が漂う
トーストの半分にマーガリン半分にイチゴジャムを塗り
真ん中から折って食べる
朝食の間中ずっとあの台詞のことを考え続けていた
自分の中のある部分では
気にするな
っと考える
しかし、別のある部分では
もしかしたら・・・・・
っと縁起でもないことを考え続ける
気持ちが悪い
考えがひとつにまとまらず
だんだんイライラしてくる
「あと、16時間です」
振り向く
そこには、誰もいない
ただ、静かに天体望遠鏡が空を見上げていた
時計は8時を指していた
今回のは、空耳でも夢でもない
確かに聴こえた
あと、16時間・・・・
本当に死ぬかどうかは、別として
寝起きに聞いた声は確かに存在した
自分の中の声肯定派の部分から
湧き出恐怖感
死ぬ・・・自分は、明日死んでしまう
自分の中の声否定派の部分から
湧き出安心感
人の生死なんてわかるはずがない
同日午前9時
思考が堂々巡りしている
考えても考えても
否定は肯定を肯定は否定を生み出す
声の主が見えないが為に
やや、肯定派が優位
自分の知りえることのできない
超現象が起こっているのであろう
なにか、人智を超える存在が
僕に告げてくれているのであろう 明日死ぬと
では、どうする?
なにがしたい?
自分は、明日死ぬんだ
なんだってできるだろう
どうせ明日までの命
なにをしたっていい
でも、犯罪は嫌だな・・・
死ぬ前に悪いことをするのは、趣味じゃない
罪を償わずに逃げるなんて卑怯だし
では、何をする?
自分の大切な人たちに知らせるのはどうだろう?
自分は、明日死にますって
だめだ
誤解されるな
別に自殺するわけじゃないし
心配させるのも悪いしやめておこう
こうやってある程度冷静でいられるのは
自分の中の否定派のおかげであろぉ
まだ、全面的に声を信じているわけではない
そおだ、まだ死ぬと決まったわけじゃない
だけど、もしもとういうことがあるし・・・・
同日午前10時
とりあえず、食べたいものを食べよう!
最後の晩餐じゃないけど
よい機会だ
いままで、1人ではいけなかったパフェ屋さんでビックリパフェを食べよう
でっかいパフェで1600円もするやつ
いいさ、冷ややかな視線を浴びようと
どうせ、明日までの命だから
明日になったら関係ない!
妙なところで強気だった
同日午前11時半
男一人でパフェ?
という冷ややかな視線の中
(被害妄想がはいってるかも)
でっかいビックリパフェをなんとか完食
お金を払って外へ
他は・・・・
ってこんなことしてる場合じゃない!
死ぬんだぞ?明日!
いいのかこんなんで?
もっと、色々あるだろ?
・・・・・・・・
考えたことなかった
もし、明日死ぬなら何がしたい?なんて
もっともっと先のことだと思っていた
だけど、こんなにも身近に死というのは存在していた
今が永遠に続くことはないとはわかっていた
いつかは、終るときがくることはわかっていた
自分は過去形で語られる存在になる
・・・・・・・
考えれば考えるほど
悲しくなってくる
いつの間にか涙が頬を流るる
何事か?とう好奇の視線が僕に集まる
関係ない
どう思われたって関係ない
もう、終わりなのだから
同午後4時
あれから色んなところに寄りながら家に帰ってきた
自分の通った学校
たまに遊んだ公園
好きだった噴水の前のベンチ
その他色々
いつのまにか行かなくなり
いつのまにか過去形で語ってしまっている場所
自分がその場所を必要としていなくなったみたいに
自分もいつか必要とされなくなっていくのだろうか?
今の自分がどれだけ必要とされているかなんてわからないけど
自分がいなくなっても
さほど関係ないだろう
少しの間悲しんでくれるとは思うが
いつかは、忘れられ
懐かしがられる存在になる
あの学校のように
あの公園のように・・・・・
同午後7時
あと、5時間くらい
最後の晩餐
特に変わったものでもなく
普通の夕食をとる
その後考える
自分は、どのように死ぬのだろうか?
事故死?
他殺?
病死?
なるべく痛くないのがいいな・・・
車にひかれるのって痛いのかな・・・
ナイフで刺されるのって痛いのかな・・・
明日死ぬって事は
病気はないかな?
そんな、すぐ死ぬもんじゃないだろうし
う〜ん、でも突然死ってあるし
具体的に考えれば考えるほど
不思議と安心できた
なにか、もやもやしたものがはっきりしてきた事に対しての
安心感
人は、未知のものを発見したときに
まず、名前をつけるらしい
名前をつけることによって相手を認識し
安心できる
それと、似たようなものだろう
同午後10時
何度想像の中で自分を殺しただろう?
考えうるあらゆる方法で自分を殺した
あと、2時間
平均寿命を考えると
短い一生を終える
セミもこんな心境なのだろうか?
暗い地中で何年も潜み
外に出たらあっというまに死を迎える
あの短い期間だけの為に
彼らは、我慢し続ける
尊敬に値するね
彼らより何十年も長く生きても
何かの為にすべてを賭けられない種族だっている
でも、なにかの為に
何かを守るために
何かを得るために
すべてを賭けるって
響きは良いけど
綺麗な響きだけれども
どこか悲しい
夏に咲き誇るヒマワリのように
力強く語られるだろうけど
冬には、誰も見向きもしなくなるのだろう
もし、来世というものがあるのなら
僕は、自分のため
自分のためだけに精一杯生きよう
人は誰しも自分自身の王になる権利を持っているのだから・・・・
午後11時59分57秒
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アレルヤ
3日後 冥府に位置する某大学にて
「教授できました!」
「ほぉ〜君の研究課題はなんだっけ?」
「はい、人間が死を予告されたときの思考と死を迎えるまでの行動の考察です」
死神の候補生が通う大学は、今日も多くの学生が学んでいる・・・・