『B1といっしょ』

先月、私などには勿体無い話であるが、『鉄拳4』の業務用のポスターを頂戴した。もちろん非売品である。
当サイトを見てのとおり、おもくそマイブームなゲームであり、ノドから手が何本も生えてもおかしくないほど欲しい品物であった。

ばーん、と部屋に飾りたいのはヤマヤマなのだが、画ビョウで穴をあけたり、ガムテで汚したりするのはなんとも忍びない。
ましてや、愛するキャラクターにウチの飼い猫が粗相をして、これ以上キズが増えたら半狂乱にもなりかねぬ。
後悔先に立たずと言う。早々に対策をとらなければならない。


『探偵ナイトスクープ』という番組の格言に、『困ったときは役場へ行け』というのがあるが、同人女の格言はこうであろうか。

『困ったときはハンズへ行け!』

ハンズというのは、知る人ぞ知る『東急ハンズ』という名の大雑貨店のことである。ノーマルなものからコア・マイナーなものまで、たいていのものはここで入手できるのだ。
私が目をつけたものは、ポスター用のパネルである。文具関係の売り場へ行き、ほどなく目標をロックオン。

モノは、タテ1024cm×ヨコ768cmの代物である。モニタの解像度を彷彿とさせる数字の羅列だが、ヒトコトで言ってしまえば「B1」である。
ビ、ビーイチ…?
普段あまり係わりあいのないサイズだが、折りも曲げもしない「B1」と言えば、優に小学校低学年の生徒一人分くらいの存在感がある。でかいのだ。
こんなときに限って、移動手段が電車ときた。カ、カルマか。

白いビニールバッグに身を潜めたデカいパネルなど、怪しいもの以外のなにものでもない。
コイツとつきあうこと、約1時間。
なにかの冗談ですめばいいのだが、これが私の生きる道なのだ。
電車の壁面にベッタリと密着させるように固定する。あとはなるべく他人と目を合わさないように時が過ぎるのを待てばいい…のだが。
なんのフラグが立ったのかはわからぬが、ハプニングの神様は、電車の車両故障のイベントを発生させた。
満員電車において、さらに30分間足止めをくらうハメになった。
どうせ連れるなら、『どこでもいっしょ』のトロのような、可愛い相棒を連れたいなあ、と不毛な夢を見た次第であった。


しかし、いい。
やはりポスターはパネルに入れると一際映えるのだ。
ひとしきり「萌え~」だの「悦~」だの、奇声を発したあと、帰宅した同居人に成果を報告する。
あろうことか「仁は雨ガッパで戦うのか?」と、とんでもない発言をされ、しばらくモノも言えなくなるほどにヘコむ。

今日は、そんな感じの秋の夜半の話を語ってみた。

(011102)


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