いかなごの釘煮
いかなごのくぎに
関西/主に兵庫県南部
☆ 「いかなごの釘煮」とは
 「いかなごの釘煮」というのは、いかなご科の小魚の稚魚を佃煮にしたもので、明石を本場とし、播州から阪神間の早春の特産品である。西限は、赤穂あたりまでは見たが詳しくは知らない。東限はだいたい尼崎あたりで、大阪以東や京都ではあまり知られていない。
 いかなご漁は、2月の下旬に解禁され、佃煮用の稚魚は4月頃まで流通する。ほとんど全てが卸売市場を通さない直接販売なので、魚屋によっては入荷しない店もあるが、今では人気を呼んで、たいていのスーパーやコープなどで簡単に手に入る。最盛期は3月の中頃で、この時分になると、あちこちの家庭からいかなごを炊く醤油とみりんの強い香りが漂い、この匂いを嗅ぐと、土地の人は「春が来た」と実感するのである。
 「釘煮」という名は、出来上がった状態が釘に似ているからで、要するに醤油やざらめ、みりんで照りを出して固める佃煮である。だから全国にある通り一遍の小魚の佃煮と、外見上はなんら変わるところはない。しかし、ゴマメやジャコ類のアクの強い味覚とはひと味違う、イカナゴ独特の風味があって、これがこの地域の人たちに特別の感慨をもたらすのである。
 「名物に旨いものなし」というが、いかなごの釘煮も他の地域の人たちにとってはまさにそれで、特別に旨いというものではない。しかし、これがないと春が来た気にならないから、まさに桜に浮かれる花見客のごとく、この季節になると、たった1キロのパックを求めて、朝から熾烈な獲得合戦が展開されるのである。
 いかなごの釘煮はこの地域の特産品なのだが、佃煮の状態で売られているものは、何故かあまり旨くない。日持ちさせるために非常に濃く固く炊いてあるからで、これでは折角のいかなごの春めいた柔らかな風味がとんでしまう。自分で炊くようになってからは、一層それが気になるようになった。また多くの商品には、調味料や添加物のたぐいが使われていて、味がべたべたしすぎている。
釘煮を製作中
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たかこさんの「釘煮」はかれこれ10年以上前からの作成です。
関西の、しかも、兵庫県南部のかなり限定された地域では、瀬戸内海の明石沖でしか採れないという「いかなご」を甘辛く煮ます。各家庭でそれぞれの味があるようなのですが、広島出身のたかこさんは、「いかなご」というもの自体しらなかったそうです。どなたかに、釘煮をいただき、自分でも作れるということに感激をしたたかこさんは、もちろん、即行動。即研究。
いろいろな人からいろいろな作り方を教わるものの、なかなか思うような味、形にはならず、試行錯誤の毎日。・・・本当に毎日作ってました・・・(^^;鮮度が命のいかなごはその日の朝に水揚げされたものを朝一番に買いに行かかないといけない。いかなごはこの時期(2月末から4月頭頃まで)にしか出荷されず、更に、いかなごたちは日々成長するので、3月の頭頃はチリメンじゃこのように小さくかぼそかったものが、終わりごろには煮干のように堂々たる?体格になっていく。体格が違えば作る時のポイントも違うらしく、日々いかなごと格闘していました。・・・と、毎日毎日、お醤油、ざらめ、みりんなどなど`単位で買って、コトコト煮詰めてるので、そこいらじゅう甘辛い匂いがしみついてます。そうしているうちに、こつをつかんできたようで、各家庭の味があるのと同様、たかこさんスタイルのいかなごの釘煮ができるようになりました。
ここ2年ほどは少したかこさん的マイブームは落ち着いているようですが、今年もやっぱり、5〜6`はたいたようですね。もっとも、たいたほとんどが他の地域に住むお友達や親戚にわたってしまい、家族はたかこさん作のいかなごはほとんど口に入りません。そのかわりに、他の家庭で作られたものがウチの食卓にのぼるコトが多いです。なんだか不思議(^^;


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