ハラスのいた日々
はらすのいたひび
 文芸春秋社 発行
 中野孝次 著
「たかが一匹の犬ころがかくも大事な存在になるとは---」(本文より)
「わたしたちはハラスの死後まだ次の犬を飼う決心がついていない。
なんどかそういう話もあったが、そのたびに思い悩んだすえ結局は
みな断ってしまった。
ハラスという犬はわれわれにとって一回限りの犬であったとそのつど
思い知らされながら。」(増補版のあとがきより)
「名犬物語でも、犬の飼い方の知識でもない。家族の一員となった犬との
共生の報告、犬と生きた日々の記録だ」(ハラス後日譚より)
子供のいない夫婦のところに、生後38日で突然舞い込んできた一匹の柴犬。
ドイツ文学者らしくHARRASと名づけたその犬との、死に別れるまで13年の記録。
スキー場で行方不明になったハラスが戻ってきたあのシーン、
別れなければならなかった最後の日------。


犬と生活をしたことのある人なら、誰もが共感してやまない、そして、ドラマ化、映画化されるほどに話題をよんだ名著です。
後日談がおまけについているので、文庫の方をお勧めします。

犬のいる暮らし
増補版
いぬのいるくらし ぞうほばん
文芸春秋社 発行
中野孝次 著
尻尾を振りに振って、犬が全身でぶつかってくる。人もまた誰はばかることなく思う存分愛情をふり注いでやる。これこそ生を実感する時ではないか。人間は何かに愛を注がずには生きていけない生きものなのだ。ハラスを失って五年、ふたたび犬とともに生きる喜びを得た著者が、人間と犬とのかけがえのない絆を語り尽くす。


ハラスの本の最後に「もう犬を飼うことはないだろう」とコメントされていた中野孝次さんでしたが,やっぱり,犬との暮らしに再び舞い戻っておられた・・・その日々をつづった本です。
犬と人間とのつながりの深さを、この本の中でも改めて気付かされ,共感した次第です。


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