春の生ぬるい風に誘われて、いつか行った丘を目指してぶらぶらと歩いく。

あの時カズは私の手を引いてくれたっけなーなんて思いながら・・・今日は一人。

たどり着いた丘の上から見る風景はあの時と違って、今は春霞にかすんでなんだかぼんやり。

まるで私みたい・・・と、ちょっと悲しくなる。

カズちゃんは今また新しい事に挑戦中。だから私はそんなカズを見守っていることしか出来なくて

わかっているけれど、それでもこみ上げてくるどうしようもない切なさや持て余した自分の気持を捨てに来る。

カズが大きなチャンスを掴んだ時から一年たつんですね。

どんなにカズが変化していっても、私は信じて見守るだけ。

大きな自信と誇りをくれたあの日を忘れない。この場所で「幸せだね」と囁いたカズの声を忘れない。

その事を確かめに私はここに来るのかもしれない。

そんなことを考えながらぼんやりしていたら、いつの間にか日は傾いて薄墨の景色に変わっていた。

突然吹いてきた風に名残の桜がハラハラと舞い落ちてゆく。

綺麗・・・居るはずも無いカズの艶やかな幻が見えたような気がした。

手のひらに舞い落ちた花びらにそっと頬を寄せて慈しんでいると

ふっとカズの匂いがして・・・突然抱きすくめられ、体も心も熱くなる。

「居ないから、きっとここだと思って」優しく微笑んで、瞳を覗き込むカズ。

「ねえ、俺また頑張るから見ててくれるよね。」

言葉も無くただ頷くだけの私の髪に付いた花びらをそっと払いながら

やっぱり「ああーなんだか幸せだね」って。

こうして、春の夜は過ぎていくのです。

ドリボ再演記念。中学生でも書かないような甘々駄文になってしまいました(汗)
桜舞う散歩道でふと亀ちゃまの幻を見てしまう自分に呆れる今日この頃。
今度はどんな亀ちゃまか待ち遠しいドリボまで後一週間です。
(05.4.19)