散らし寿司に菜の花のおひたし、ハマグリのお吸い物・・・
桃の花も飾ったし、ケーキはカズが持ってくるっていうから。
後はそのカズが来れば良いだけなんだけど、遅いな・・・。
真っ赤なフェルトの緋毛氈の上にちょこんと座った小さなお雛様を眺めているうちに眠ってしまいました。
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小さな雪洞の灯りに照らされて、十二単の姫様は俯いて手にした扇をじっと見つめています。
その白いうなじや、艶やかな黒髪、伏せた目に影を落とす長い睫からは匂いたつような清楚さを醸し出しています。
まあ、なんて美しい姫様でしょうとため息が漏れてしまいました。
その気配を聞きつけたのか、ふと姫様がその美しいお顔を上げると・・・
え〜!カズ?カズちゃんじゃないの!うっそー。
大きな瞳で不思議そうに私を見つめる姫はまさしくカズなのです。
きゃはは、カズちゃん綺麗だよ、ほっぺもほんのり桃色で下睫びっしりの目も愛らしくて・・・
女の子以上に女の子しているカズに思わず肩を震わせて笑ってしまった。
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あー遅くなっちゃたよ。
あいつ、怒ってないかな、拗ねてる?いやいや泣いちゃってるかも・・・
なんて思いながら、ごめんね。。。とそっとドアを開けて部屋に入った。
そしたら、待ちつかれたのかクッションに顔を埋めて眠ってる。
そっと、肩をゆすって起こしたら、まだ覚めきらない瞳で俺を見つめた途端にぷっ!って
何?なんなんだよー!
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あービックリした。肩をゆすられてぼんやり目覚めたら、カズが覗き込んでたから
思わず噴出してしまった。ごめんね、カズちゃん。
どうして噴出したかは絶対本人には内緒。だって、ねー、男の子だし。
でも、可愛かったなーカズ姫。お願いって頼んだら着てくれるかなぁ・・・
いけないけない、危うく道を踏み外しそうだったわ、私。
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なんだか知らないけどニカニカしたまま、どんなに尋ねても教えてくれない。
でもいいか、今日はいつも以上に優しいし、少しだけど甘酒も飲ませてくれたし。
女の子ってホント不思議だよね。
なんだか眠くなちゃった・・・。
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ふふふ、お姫様のカズちゃんも可愛かったけど、
ちょっぴりの甘酒で頬をピンクに染めて眠ってしまうカズがやっぱり可愛い。
毛布をふんわり掛けてほっぺにちゅっ!おやすみ、私の可愛いカズちゃん
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雪洞の灯りが微かに揺れて緋毛氈のお雛様が微笑んだのを二人とも知らずに夜は更けていったのでした。
あちゃー、やっちゃいましたかね(笑)
着せてみたいおひな様コス。きっと可愛いんだろうなー。
書き溜めて放置したまま季節が変わってしまいましたが
折角なので公開してみました。うんにゃ、ちょっと後悔かも・・・
(05.4.19)