ねえねえ、これどう思う?なんて言いながら、カズが擦り寄ってくる。
はいはい、もう下心見え見えだから。
でもさ、今は10月だよね。クリスマスはまだまだだし、誕生日でも勿論ないし・・・
まさかハロウィンだからなんて言うんじゃないでしょうね。
だったら、カボチャの被り物ぐらいにしておいてよ。模様にGのマーク付いてたりして、アハハハハ・・・。
カズが持ってきたのは、宝飾品のカタログだった。
二人で肩寄せ合って、そのうち夢中になっちゃって、額くっつけてあれが良いだの、これはヘンだのあれこれと。
いつの間にか、折角のお休みが終ってしまっていた。
カズはそのカタログを小脇に抱えて、何も言わずにご機嫌で出かけていった。
あらら、熱中してた割りにはあっさりと引き下がったわね、なんて思いながら冷めてしまったコーヒーカップをそっとなぞってみた。
カズには何時でも輝いていて欲しいから、彼が輝くための投資は惜しまないつもり。
だって、可愛い顔して、アリガトってニッコリされてごらん。もう、なーんにもいらないって思えるから。
それちょっと違うんじゃないの?なんて時々言われるけど、これが私流だから良いのよ。
何日か後に、お仕事のご褒美で南の国で羽を伸ばしてきたカズが元気いっぱいで帰ってきた。
まぁ〜私のお気に入りの色白な坊やは何処?なんてふざけて笑いあった。
お帰り、カズ。楽しかったみたいで良かったわね。黒くても白くても、その笑顔が一番だわ。
一生懸命話すカズに背を向けて、お茶の準備をしていたら、不意に後ろから抱きすくめられて
ねえ、ちょっとだけ目瞑っててとカズが囁く。
クスクス笑いながらも大人しく言われた通りにしていたら、手首にひんやりと何かが触れた。
もう良いよの声にそっと目を開けると、キラキラと優しく輝くブレスレットが…
あの時二人で、いいねぇなんて言ってたブレスレットだった。
ほら、おそろいだよと自分の腕を絡ませてくる可愛いカズ。
潤んだ瞳を覗き込まれて、恥かしさと嬉しさで身の置き所が無くなる私。
何時もの余裕が嘘みたいで、まるで少女のように頬が熱くなるのがわかった。
アハハ、お前可愛い〜なんて茶化されながら、ぎゅっと抱き寄せられて至福の時を味わう。
カズ、貴方がしてやったりって得意げな顔したの、ちゃ〜んと分かってるわよ。
たまには勝たせてあげなきゃねーなんて思いながらも、本当はその策に嵌ってしまったのは私なんだけど。
あらら、大変です。思わず願望が・・・。赤面ですね。
玩具じゃないんだから、遊ぶなよっ!なんて言いながら、こんなカズも可愛いかなって。
何時もと違うママ子とカズですが、これが私の本心だったりして・・・わおっ!
2004.10.2