-時の彼方からの恋文ー

「泉水さんは弱くなんかないよ。自分の中にある強さを思い出して‥。」


私にそう言ってくださった貴方は‥、京の都から元の世界に帰ってしまわれました。
あの日から今日で1年になります。
私は帝の御許にお仕えし、東宮の彰紋様の相談役としての任を受けて、日々を過ごして参りました。
毎日がとても充実して、日々忙しく過ぎていきます。
和仁様も新しい任職に任じられ、少しずつ落ち着きを取り戻されております。
京の地は何事もなかったかのように平穏な日常が過ぎていきます。
あの滅び行く世界が目前に迫っていたことも、すべてなかったことのように‥。



ですが、私は貴方のことを忘れたことはこの1年間、一度もありません。
どんなときでも貴方の姿が瞳に焼きついたままなのです。
日中に仕事をしているときも‥。
部屋で書物を読んでいるときも‥。


貴方のことばかり考えてしまいます。


貴方にもう会えないとわかっていても、私の心の中のこの暖かな気持ちは決して色あせることはないでしょう‥。
遥か彼方にいる貴方に届くことはないとはわかっていても、この想いを抱くことは罪なのでしょうか‥。


私はもう後ろを向かないと貴方と約束したのに、
こんなことではいけませんね。
どうして、貴方が元の世界に戻られるときに、この想いを告げられなかったのか‥。
自分の弱さが招いたこととはいえ、今になって悔やまれます。
私みたいなものが貴方に想いを告げる資格がないとはわかっておりながら‥。


どうか、お健やかにお過ごしください。
貴方ならきっと龍神様に守られているはず‥こんな心配しなくてもよいはずなのに、
心優しき貴方の姿が瞼に浮かぶ度に、願わずにはいられないのです。
私の心の迷いを救ってくださった貴方に、恩返しできなかったせめてものお返しに、
祈らせてください。


遥か彼方の貴方へ


泉水


お待たせしていた9999キリ番、「泉水さん」のお話です。
ストーリーを書くつもりでいましたが、今回はちょっと違ったことをしてみようと思って、
「現代に帰った神子(花梨)への恋文という形にしてみました。
ここでの花梨は八葉と恋愛EDを迎えて戻ったのではないということにしてあります。
(星の一族か千歳とED迎えたかもしれませんが‥)
本当に遅くなってしまって申し訳ございませんでした。