〜守りたいもの〜
キーン、キーン、カーン、バシッ!
日の曜日の早朝から、剣と剣とがぶつかり合う音が聞こえてくる。
ここは女王陛下のおられる聖地、そして、俺の名前はランディ。
風の守護聖として、女王陛下を守り、人々のために尽くすのが俺の仕事。
俺は守護聖としてはまだまだなのはわかっているけど、少しでも女王陛下の役に立ちたいと思って、
毎週日の曜日には、炎の守護聖オスカー様の館に来ては、稽古をつけてもらっている。
オスカー様には迷惑かけてるかなとは思っているけど、いつも文句を言いながら、付き合ってくれている。
そんなオスカー様を俺はすごく尊敬しているんだ!
「おう、今日はこれぐらいにしておこうぜ。」
オスカー様は剣を納めて、傍らにおいてあったタオルで汗をぬぐった。
ああ、今日も俺は1本も取れなかったなあ…。
やっぱりオスカー様は強すぎる。
永遠にかなわない相手…。
「おい、お前最近変だぞ?何かあったのか?」
やっぱりオスカー様はかなわない。
俺は普通に振舞っていたつもりだったのにな。
「実は…、彼女から恋愛の相談をされてしまったんです。」
オスカー様はにやりと笑って、
「それで今日は剣が荒れていたんだな。お前なあ、剣を感情で振るうのはよくないぞ。」
と注意をしてくれた。
俺はどこかでむしゃくしゃしていたかもしれない。
それでがむしゃらに剣を振ることで忘れようとしていたのだろう。
それだけ俺は彼女のことが好きだった。
彼女の笑顔を守りたかった。
彼女が俺ではなく、他の人のことが好きだってことも気が付いていた…。
だけど、それでも想いを伝えずにはいられなかった。
「俺はいつでも味方だよ…」
とそう言って彼女を慰めた。
彼女はとびきりの笑顔で、
「ランディ様は大事な友達だから、ついいろいろお話をしてしまいます。
これからも話を聞いてくださいませんか?」
…俺は彼女がそういうのを頷いてしまった。
俺がじっと考え込んでしまっていると、
「恋っていうものはそう簡単なものじゃないぞ。俺はいつでも女の子の幸せを願っている。
もちろんお嬢ちゃんもだ。お前にはまだ早いかもしれないが、
好きな女のことを見守ってやるのも男として大事なことだ。」
オスカー様は俺の気持ちがお見通しのようだ。
…俺は彼女の幸せを願いながら、別の気持ちを持っていた。
心のどこかで彼女の恋が破れることを願っていた。
自分の好きな彼女が他の誰かと仲良くしている姿を見るのが辛かったから。
オスカー様の言葉で俺は自分のおろかさに気がついた。
オスカー様は俺の目をじっと見つめながら、俺を引き寄せた。
そして……
「辛いかもしれないが、頑張れよ!」
俺を肩をポンとたたいて励ましてくれた。
友達でもかまわない、彼女が俺を必要としてくれている。
俺は少しでも彼女の力になれるように自分を磨かないといけない。
「オスカー様、俺は強くなりたいんです!
これからも稽古をお願いします!」
それだけ言い残して、俺は走りながらオスカー様の館を後にした。
俺は自分の気持ちを止めることはできない。
そう、大好きな彼女の笑顔を守るため、俺は誰にも負けないように。
そしていつかオスカー様にも勝てるように…。
「きみの笑顔のために俺はいる。俺はその笑顔を守るためにここにいる……」
〜Fin〜
夢幻さまのリクエストでランディ様の話を書いてみました。
彼が幸せになる話を書こうと思っていたのに、
スプリングライブで神奈さんの歌を聞いて、その歌が頭から離れず、
結局、こういう話になってしまいました。
オスカー様は恋愛のことはなんでもお見通しということで、こういうポジションでの登場になりました。
ランディ様の好きな人は誰なのか?
そして、その人が想いを寄せているのは誰なのか?
オスカー様はランディの気持ちを察してどう思っているのか…。
すべてはご想像におまかせします。
リクエストありがとうございました。