タイトル『★★ビックリ箱のワナ★★』
ある晴れた日曜日…
私は奈津実と一緒にライブに行く約束をしていて、駅前広場で待っていた。
そうしたら、いきなり奈津実が会うなり、
「くそ〜〜。なんでアタシの仕掛けてるワナがわかるのよ〜。」と言い出した。
何のことかわからない私は
「一体何のことよう。私は奈津実に何もしかけてないよ。」と言い返した。
そしたら奈津実が、
「もう、ずっと前の黒板消しといい、おとといの落とし穴といい、なんでうまく切り抜けるのよ。ヒムロッチは!!」
……なるほどね。まだやっていたのか。氷室先生にワナをしかけてるってこと。
もう、懲りないんだから、奈津実って。
そういえば、先週の社会見学のときにも奈津実がいきなり現れたんだよね。
あの日、先生とビリヤードに行く約束をしていて、駅前広場で待ち合わせをしてたんだ。ちょうど私が着いたから、いざ向かおうとしていた時に、いきなり奈津美が現れて…「あれっ、あれあれっ?
!一体何でツーショットなの〜」と言われたんだよね。
そうしたら氷室先生が「個人授業をするので待ち合わせをしていた。藤井、お前も一緒に勉強するか?」と言ったので、
慌てて奈津美が逃げて…。
あの後、ものすごく先生が慌てちゃってさあ…。
社会見学の帰りの車で、前に私が先生に聞いた、先生の好きなタイプが気になる訳をたずねられちゃったんだよね。
本当に先生、あの日おかしかったんだよ…。
でも、私は普段のきちっとしているところも、そして、時より見せてくれる可愛いところも…好きになってしまっていて。
本当はこんな気持ちを持ってしまったらダメなんだろうと思うんだけど、気になってしまって仕方がないのよ。
「
!どうしたのよ。ぼーっとしちゃってさ。」
あっ、ついつい一緒にいる奈津実のことを忘れてた……。
今日は奈津実と出かけてるってのに、氷室先生のこと考えちゃうって、私…どうかしてる。
「ううん、ごめんね。ちょっとぼーっとしちゃって。」
慌てて切り返す私。
そうしたら、奈津実が、
「まあ、アンタがボケてるのは今に始まったことじゃないけどさ〜。ねえねえ、
もさ、ヒムロッチにワナかけるの協力してくれない??」
って言ってきた。
「え〜〜っ!!」
なんでそうなるのよ。
「だって、優等生な
はヒムロッチにマークされてるわけないじゃん。アンタが仕掛けるなんて、絶対に思わないって。だからさ〜、親友の一生の頼み!!聞いてくれないかなあ?
もヒムロッチの驚く顔って見たいと思わない?」
確かに氷室先生の驚く顔は貴重かもしれない。
私も1回しか見たことないし。
でも何で私が仕掛けるのを手伝わないといけないのよ。
好きな人にワナをかけて何が楽しいってのよ〜。
「沈黙ってことは、OKってことよね〜。じゃあ、早速ヒムロッチの家に行くよ。」
えっ?今から私たちはライブに行くんじゃなかったっけ……。
強引な奈津実に引っ張られて、私も結局先生の家までやってきた。
うわ、私の家のすぐ近くだ〜。
確か、先生と遊園地に行った帰りにそう聞いたっけ。
でも、何で奈津実が知ってるのよ〜〜。
奈津実に聞いてみたら「フフフ、ナイショ!」と言われちゃったし。
さすが、情報通な奈津実、いろんなところにネットワークとか持ってるんだろうな…。
「今日はヒムロッチはクラブもないから、きっと家で課題を作ってるはず…。
だから、ここにコレを仕掛けようって思ったのよ〜。」
といって、取り出したものが、四角い物体。
大きさはまあ、コンパクトカメラぐらいの大きさかな。
しげしげと見つめる私に奈津実が、
「ああ、コレね。姫条の知り合いに作ってもらったんだ〜。センサー式ビックリ箱っていうの。これをドアに仕掛けてさ〜。ヒムロッチがドアをあけたら見事にドカーンと大きな音が作動するって寸法ね。フフフ〜これで驚く顔が見れるって訳!」
そう簡単に先生が引っかかるかな……。
「じゃあ、仕掛けるよ。
!物音立てないでね。」
奈津実がドアにそっと置いた。
そして私に、
「今からインターホン押すから、ドアが開いたらすぐに逃げるのよ〜。せーの!」
と声をかけながら、
「ピンポーン〜」
とインターフォンを押した…。
電子音が響いて…。
しばらくすると、誰かの足音が聞こえてきて…。
「さあ、
!逃げるよ〜」
と奈津実は言って走り去っていった。
奈津実は角を曲がって安全そうなところに避難するみたい。
私も逃げようと走ろうとした途端……。
目の前の石につまずいてひっくり返ってしまったの……。
気がついたら私は、ベットに寝かされていた。
目を明けると、そこには先生の心配そうな顔が見えた。
どうやら私は石につまづいて、そのまま気を失ってしまったみたい。
あいかわらず、ドジだな…私って。
起き上がろうとする私に、
「
!無理をするな。ゆっくり休みなさい。」
と優しい声がした。
さらに、
「どうせ、藤井に連れてこられたんだろう。君がこんなことをするわけがない。」
と、頭を優しくなでてくれる先生が…。
えっ、頭にタンコブが出来ているの???
うそお〜。
私、自分がぼけっとしていることは自覚しているけれど、まさかここまでおっちょこちょいとは思ってなかったよ。
しかも、一番見られたくない人に見られてしまったなんて……。
どうして、こんなことになってしまったんだろう。
先生の驚く顔が見たいって思ってしまったから、バチが当たってしまったのね……。
気がつけば私の目から涙がポロポロと出てきてしまった。
そうしたら耳元で先生が、
「
…、君のそういうところがほうっておけない…。何をしでかすかわからない。
君は私の一番の……」
ええっ、先生??何を言ったの??
はっきりと聞こえなかったけど、もしかして私の名前を言った??
ええええ〜〜。
そんなわけないか。
ぱっと先生を見ると、なんか顔が赤い。本当に私のことを心配してくれているんだなって思った。
きっとドジでおっちょこちょいな私をみて呆れながら、気にかけてくれてるんだなって。
自分の生徒だから、やっぱりここまで面倒を見てくれるんだろう。
修学旅行の班分けの時に、どうせ他のクラスの子と回ると思われていたみたいで、クラスの友達が私のことをすっかり忘れてしまっていたときも、先生が気にかけてくれて一緒に回ってくれたし。そのときは、足手まといだったといいながら、結局最後まで面倒を見てくれたし。後で隣のクラスのタマちゃんが、「誰と回ったの〜。私、
ちゃんを探して、一緒に回ろうと思っていたの。」って聞かれたけど、その時はさすがに先生と回ったっていえなくて、クラスの子と回ったって言ったなあ…。
クラブの時も、なかなかうまく演奏できなくて、つきっきりで居残り練習をしてくれたし…。
本当に私のことを気にかけてくれてるんだなって思う。
でも、それは生徒としてだろうな……。
一人の女の子としては見てくれてないだろうな。
私の気持ち…きっと届かない。でも、それでもかまわない。
生徒として気に入られているだけで充分だよって自分に言い聞かせる私がいる。
「頭を打って、どうも疲れているみたいだな。」
先生がまた心配そうに眺める。
先生のことを考えていましたとはさすがに言えないか。
「とにかく家まで送ろう。こんな調子では明日の授業に響くはずだ。今夜はゆっくり休みなさい。」
私は、これ以上心配をかけたくなかったから、
「大丈夫です。ここからだと家は近くなので自分で帰れます。今日はありがとうございました。そして、ご迷惑をかけてしまって申し訳ないです。貴重な休みの日にお邪魔してしまって、ごめんなさい。」
と先生に言い残して、家に向かって走り出していった。
家に帰ったら、尽に
「姉ちゃん、頭のタンコブどうしたの。どうせまたどこかで転んだの?」
といきなり言われたので、
「よけいなお世話よ。」
といって、尽の頭をごつんとたたいて、自分の部屋に戻った。
一言多いんだから…。
今日は転んだのは運が悪かったけど、先生に優しくしてもらえたからうれしかったな〜。
翌日、学校に行くと、奈津実が待っていた。
「
!アンタ、もしかして逃げ遅れたってことない??
アンタお説教くらったでしょ?本当にゴメン!!」
そうですよ。私はドジだから転んだんだよ。
タンコブは落ち着いていたけど…。
でも、私はお説教どころかとってもいい思いをしたんだけどネ。
奈津実には言えないか。
「ゴメン!この埋め合わせはまたするから!」
って手を合わせながら、申し訳なさそうな顔をして奈津実は言った。
私は笑って、
「いいよ〜。気にしないで。でも、私を巻き込んでワナにかけるってのはもうお断りよ。」
と言ったら奈津実は、
「うん、今度はアンタを巻き込まずに、最強のワナをしかけてみせるからね〜。」
と高らかに笑いながら去っていった…。
奈津実には懲りるってことがわかんないみたい……。
チャイムが鳴って、HRが始まった。
いつもの先生がいつもどおりに連絡事項を話す。
そして最後に、
「
!本日の授業終了後、職員室に来るように。以上でHRを終了する。」
といって先生は教室を出て行ってしまった。
やっぱり昨日のことのお説教だろうな。
昨日は気絶していたから何も言わなかっただけだろうな…。
今日は一日ブルーな気持ちで授業を受けていた。
よっぽど青い顔をしていたんだろう…。
一緒にお弁当を食べている奈津実とタマちゃんが「大丈夫っ?」って、心配そうに声をかけてくれた。
でも、私の気持ちはうわの空だった。
とりあえず、謝りに行こうと思った私は、放課後、とぼとぼと職員室に向かう。
職員室に入っていくなり、先生は待ち構えていた。
そして、私に生徒指導室に連れて行った…。
はあ〜とうとう怒られるな。
怒られる前に先に謝ろうとした瞬間。
「
!昨日の傷はどうだ?」
と優しい声で先生が声をかけてくれた。
さらに、
「誤解だ、私は君を説教するために呼び出したのではない。
君の様子が変だったから気になっただけだ。」
と、私を気遣ってくれた。
私がほっとした顔をすると…。
「大丈夫のようだな。よろしい、今日は私の車に乗っていくといい。家まで送る。」
と先生は言ってくれた。
うん、先生はやっぱり生徒思いのいい先生だな〜。
奈津実は先生を天敵扱いするけれど、どうしてなんだろう…。
今日もいい夢が見られそうだな………
-END-
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