My Song
  
 REBEL#1 品番COCP-50772 価格\1575

愛を歌おう。辛いことをワカル人と。
このアルバムのテーマ。あるがまま見たまま。

01. My Song

想像したより、驚くほど正面から入ってくる音の作り方だった。最後まで安定して終わる素直な曲調も珍しい。
重なる出会いと別れを繰り返すうちに、歌ができ、同じような経験をまた変わらず繰り返し、また歌になってしまう。そのうち思う、そこにいる君こそが本当の事実だってことを。行きつく終点では無いけれど、取りあえず今が「My Song」だって。二人以外誰もいない「Our Song」
永遠を想像してみたり、夢見たり、しかし、今あることだけが、そこにあるだけが事実。今、ここ、だけを切り取って大切にしていこう。
言葉も挫折した、どうしてもダメだ。この想いだけを自分に忠実にイメージするように。
そうさ、どんだけ愛しても最後は一人で死んでいくことなんて言われなくても分かってる。だから僕らは愛を歌うんだろう。あなたの笑顔を思い出して。求めると涙が流れるほど辛くなる。真に普遍であることはいつも難しい。いつでも宣言できることではないけれど。
この歌は、この後の4曲を聴いてもう一度ここに帰ってくると、また違って面白く聴ける。だから「My Song」なのかって。ユニセックスな感じもオモシロイ。
02. タクシードライバー・ブラインドネス

少し思い出した。昔、有名な宗教屋の会合に出たことがあった。
「あなたの運命を開けてさしあげますよ」
オレは穏やかにその場を離れて心の中で叫んだぜ。オレは逆の方に生きていくぜ。そしてロックと出会ってここまできた。見た物をそのまま受け入れて、後は心に残ればそれで充分さ。
自分に自信なんてない。震えるようにそれを凝視するだけさ。
無知を偉く素振る気もない。できるだけ過信を抑えて盲目の素晴らしさを知るだけさ。これだって充分に宗教だろ。
ただ、これからもいろんなことが、普通に自分の目の前にやってくるだけのこと。
03. 夢

この歌を聴いてると彼の変わらないスタンスを感じる。またこのアルバムのテーマを歌ってもいる。LET IT BE。ビートルズ後期の終焉感。
若くして自分さえも知らず発揮された才能、歌への結実。それへの自意識、ラッキー、過ち、過ぎればいろんなその時の感情の断片が背後に散らばっている。売れない頃の有名な立場への憧れ、叶った今、一体何を求めていたんだろう。ここにきて彼は知る、本当のアーティストである苦しみを。アーティストと言われる苦しみを、そして迫る危機を。ここにきて分かった。そのままでいることしか残っていないことを知る。実は夢中であっても、到達した気がする現在も、これから、そのままで有り続けるってこと。人が到達するなんて、死のイメージでしかない。
「夢叶えてしまった」というのはジョンレノンの歌う「Dream is over」なんだと気付く。
五十嵐がシングルを出したくない気持ちも分かる。この曲のイメージを持って「My Song」を聴くとまた少し違って聞こえる。
04. イマジン

出だしの流れが小坂明子の「あなた」風なのが笑った。この曲のテーマとは何の関係もないが。
幸せを望んで生きながら、手に入ればその幸せはなんだったって?何を目標に自分を鍛えて、金作って、常識知って、仲間と組んで今まで来たのだろう。よく聞く言葉。「幸せって退屈なもの。それが幸せ」
これ以上、夢なんか見るのは止そう。少なくとも勘違いしてこれから生きるなんてしないように。
レノンの「imagine」の解釈の歌かも知れない。前の楽曲「夢」と同じように。なんとなくこのアルバムのテーマが見えてくる。
そしてジョンレノンのイマジンが半分誤解されて全世界に広まっていることに怒りをもって。
人でいることは、孤独がいつ自分の元にやってくるかをひたすら待っている生き物さ。
05. テイレベル

不毛のように見えて、少しずつ前進しているのかも分からないくらいの細胞分裂をしている男子高校時代。暗く青く臭い時代。
みんな言うよね、もう一度若くなってやり直したいって。オレ一度もそんなこと思うことないよ、あんなどうなるか分からない高校時代なんて。良くなるか悪くなるかもわかんねえ。どうせ、同じようなことだろ、じゃあそんな時代には戻りたくはねえ。
高校時代って女にアセったよな。白ける防災訓練は100%ふざけたよな。おたまじゃくし100億匹は殺したな。自意識強かったけど、限界ある自分なんてそんな認めること出来なかった。人に食事を与えられた上に。自分が気持ち悪いことも自覚できるくらいのアタマは持ち合わせてた。自分を思い知り、収めていく場なんだよ。あんまり社会でショック受けないように。オレも朝まで4畳半の天井見てギター弾いてたよ。「センチメンタル」に続いていくよ、この感覚。
近くのたこ焼き屋の前でオレを睨む座り込んだ高校生達よ。何も言わずとも、横顔でそんなこと分かるぜ。
早く抜け出してこい、すぐに過ぎるから
。大したとこに出てくるわけじゃないが、最悪じゃないって。