THE LIVING DEAD
   
LONGFELLOW 品番HLR-011 価格\2520

2thアルバム。歌詞の完成度が増し、重要曲が多くある。
このアルバムのテーマは「たからもの」
宝物は自分が作るものなんだ。それを応援してくれる歌もある。

01.Opening

涙の君にプレゼントがある。このアルバム曲の一つ一つの物語を彼は歌い導いてくれる。
藤原の少し鼻にかかった声で、弾き語りの序曲。
02.グングニル

ロックアルバムの一曲めに相応しい。スプリングスティーンをブリティッシュバンドでやったような楽曲。オレ達の時代は、佐野あたりがそうだったんだが、彼らは、その時のものより本質的である。ロックは、ある部分に退廃していき、ある部分に進化している。
たたみかけるギター、ファルセットの黒っぽいバックボーカルが面白い。
グングニルを突き上げること、気が付けば突き上げてなきゃ、多分成功はしないだろう。自分がどう見えるのか、格好いいのか、ちっぽけなのかそんな心の調整をしていては、もう終わりだ。気が付いたら。
でも大体には、コトの終わっていることの方が多い、傷つかなくていい。突き上げることは、そんなに多くのシーンではない。
でもその時が少ないタイミングで必ずやってくる。
そして宝物は彼の手にある。彼が作り上げた宝なんだ。
例えばギターは誰にだって宝物じゃない。そいつと永遠の恋人になれるやつが宝物を手にする権利を持つのだ。
03.ベストピクチャー

静かなバンドアレンジ。でも西海岸あたりじゃない。堪えたような抑えた音。ベルベットアンダーグラウンドの静かな時の様な音質と空気。
安アパートで描く青年。思いは自分の表現、でも出口は商業的成功じゃない。現実の生活がその心を脅かすことが時々にある。自分を見つけてくれるか、埋もれて死ぬのか。小さな貧窮と大きい野望。この小さな部屋できっと蠢いている。
芸術の本質とまかり通る嘘。真の成功をどの様にオレ達は測ればいい?きっと、このときのBUMPも。
どこまでやり通すことができるのか、自分に問う。
04.続・くだらない唄

ファーストの続編になっている。千葉県佐倉市の情景なのか。帰ってきた彼は、彼だけが変わっていたことをその情景に教えられる。
破れた青春なんて、くだらなくて切ない。余裕のない子供の頃の自分が切ない。そして思いは真っ直ぐで、くだらない。馬鹿らしくって今のオレにはその真っ直ぐさもない。馬鹿な子供を卒業して、テクニックを持って生きる術を学び取ったはずのオレの心が、丘の前、真っ直ぐな涙がオレの身体の中からいやなほど湧き出てくる。

タンポポ丘は変わらない。そして涙も変わるはずがない。オレはもう変わってしまったのかもしれないが、こいつらは残っている。ギリギリだが間違いはない。オレもまだ変わり果てるまでは行ってないんだろう。

みんな自分の場所を覚えておこう。そして、たまにそこに帰ろう。くだらなかったその時に。

05.ランプ

藤原の持っているテーマ。自分の中の一人と一人。情熱のランプ、良い表現のアイデア。ハローと呼んでくれるランプは優しい。応援してくれる。しかしマッチをつけるのは自分だと教えてくれる。
現実にはこんなやり取りが自分の中にあるわけでなく、これは自分の胸の内の本来ある勇気を説明する歌になっている。
非現実的だからこそ、これは応援歌としてベスト曲だとオレは思う。優しさに溢れている。嘘だから優しい。そんなことはないからこそこの歌は、応援してくれるのさ。
ライブでは藤原と増岡がユニゾンでチョーキングする。
最後のフレーズは一回でいい。藤原、充分に分かるよ。ファンのために勇気づけるこの歌を作ってくれたこと。
オレも随分器用にランプを付けたり消したりできるようになってきたんだけど、時折、マッチが見あたらない。人って、いつまでも、そーなんだよね。
自分自身だからこそ分かんなくなることあるんだ。
06.K

物語性の強い唄。この曲のファンは多いようだ。BUMP版走れメロス?
聞く気もなにもない斜に構える黒猫からやがて彼の遺志を理解するまでに、この曲は的確なアレンジでこの猫の心の移り変わり、疾走する映像を喚起させる。たくさんの簡単な言葉が連なる。飛び交う。クサくて泣ける。
行き倒れた黒猫は「K」の称号を得て、聖なる騎士へと昇華して消えた。そしてこの歌はぷっつり終わる。このアレンジこそ、BUMP最高のレクイエム。

そして倒れた絵描きはベストピクチャーの本人なんだろうか?息絶えた芸術家。
しかし、亡くなった二つの魂に壮絶さを感じさせないのがBUMPの良心だとオレは思う。そう、誰しも死ぬまで生きているだけさ。

07.リリィ

あまねく女性は、母である。知らず男性は少年である。
オレもそんな人を知っている。弱音をぶちまけて、オレの負け。それは勝負にならない。目の奥を見つけられたような驚きと心の抱擁。
低いステージの上、その後の部屋、駅の改札、そしてステージ。
シーンのきれいに変わる、スーっと美しい歌。

あまねく人は、過去を忘れ、うまく生きていける頭を持つことになる。それでも生きていけるが、置き去りのまま忘れてしまうが、何かに心思えるチャンスを失う。
強い力とは腕力ではないのだね。

08.Ever lasting lie

真実か嘘かもう分からない。もしかしたらやり続けることが実はそこに真実があって、やることじゃなく、続けること。それは嘘なんだけど、続けることに真実があるかも知れない。いや、嘘とは何をして嘘と決められるんだ。嘘だとは実は当人にしか決められないことで、だから彼には続けることその行動なんだ。やり直してもかまわない、それを続けるんだ。

優しい嘘の代償に彼は夢を掘り続けることになる。
若き日の屈辱も、もうあることなのか、ないことなのか。
確信犯でも、それを優しさの一種とはいえるだろうか。
掘ることに意味があるのか、それも何も、考えず。

ライブでは、より壮大なスケールで間奏に「時間」を聴かせてくれる。

09.グロリアスレボリューション

めずらしく、ポップで覚えやすいサビ。
何もないよ、って藤原が叫んでくれると距離はグンと近くなる。分かるから早くおいでよ、ナニぐずぐずしてんだい?自分で縛るだけ縛って。あれれ、藤原の手錠、意外と頑丈、外せない
「こういうケースもあるというリアリズム」自虐的に最高のジョーク。藤原のいい歌詞だ。BUMPだ、歌って、呼び込んで、まったく最高だ。
その手錠外そうぜ。或いは持ったまま一緒に走るか?
10.Ending

言葉を濁す彼。なぜなら、君の見方はこの歌達。
そしてBUMPは次の物語をつくる。