しかし、ありがたいことにそんな状態も長くは続かず、しばらくすると質問の嵐も徐々におさまり、ようやく修二と彰を抜きにした、また元の生活が戻ってきた。
そして、その時から随分たった日のことだった。
それは窓からとってもきれいな夕焼けが見えていた日のこと。
その日カシオは、サッとカーテンを開けたかと思うと、その真っ赤とも濃いオレンジともいえないような輝かしい夕焼け空を窓から見上げ、ぽつりとこうつぶやいたのだ。
「ママ、修二と彰もこんな空、見てたんかなぁ。」
お皿を洗う手もピタリと止まる私。
以前、二人で歌を聴いていた時「…旅立つ日の綺麗な空」の部分で、「その時の空ってどんな空やったんやろうなぁ。」と私が言ったことがあったので、おそらくそれが頭の中に残っていたのだと思う。
そっか。
カシオの中では、綺麗な空のイメージって、夕焼け空だったんだ…。
こういう時のカシオの一言には、どうしても勝てない何かを感じる私であった。