生物から学ぶバイオミミクリーが話題になってます。第1段階では、自然の形態を真似て製品を作ることをバイオミメティクスと呼んでいます。第2段階では、自然のプロセスを真似た製造プロセスで製品を作ります。例えば、アワビは大量の化学薬品などを使わずに、常温、常圧で立派で美しい貝殻を作り上げます。第3段階では、生態系を学ぶことです。生態系ではさまざまな要素を取り込んで持続するシステムを形成しています。ニッチは中小企業の事業ドメインに使われていますが、企業や組織が生態系のシステムに学んで互いに有機的に結びついて活動するならば、持続可能な経済や文化のシステムが生まれる可能性があります。
バイオミメティクスの主な例 |
生物の構造や機能 | 研究機関 | 用途 |
ハチドリはホバリングしあんがら花の蜜を吸う | | 小型ロボットにカメラを搭載 |
モルフォ蝶の鱗粉表面の積層構造 | 日産自動車、帝人ファイバー、田中貴金属工業 | 塗料、繊維、化粧品、光学ディスプレイ |
シロアリの巣の中の温度は常に30℃ | | 電気のいらないエアコン |
ネムリユスリイカの幼虫は数ヶ月間休眠しても水をかけると蘇生する | | ヒトの細胞や臓器の常温乾燥保存法の開発 |
トンボの飛び方 | 東北大学 | 微風でも回転する風車 |
ホヤの血球 | | 海水中からバナジウムを経済的に回収 |
バイオマイニング | | 鉱物から金属を浸出させる |
カワセミのくちばし | JR | 新幹線 |
サメの肌 | | 水着 |
タマムシの色 | 中野科学 | ステンレス製品 |
バラの花びら | 東京理科大学 | 水をはじく撥水性に加え、吸着性と分離性を兼ね備える |
カタツムリの殻 | LIXIL | 外壁材(汚れにくさ) |
チョウの羽構造や羽ばたき時のうねり | シャープ | 広がりのあるなめらかな風を出す扇風機 |
ヤモリは天井に張り付きながら移動できる | 日東電工 | 粘着力の強いテープ |
ガの目は光を反射しにくい | 三菱レイヨン | 液晶などの反射防止フィルム |
マグロの皮膚は海水との摩擦が起きにくい | 日本ペイントマリン | 海水の摩擦抵抗を減らして燃費を上げる船舶用塗料 |
アメンボは水の上を走る | 工学院大学 | 水面を滑りながら動くロボット |
(出典:私たちにたいせつな生物多様性のはなし、生物多様性経営、日経新聞 2012.4.22 など)