彼らについての無駄な考察


◆ガユス・レヴィナ・ソレル

語り手たる主人公。あまりに気の毒な眼鏡置き。ヘタレているのは、周囲にも理由がある。彼の人生に用意されたシナリオが、もっと明るいオチのある台本だったなら、もっと真っ当な主人公人生を歩めたと思う。捻くれて理屈をこねる天邪鬼であっても、基本がちゃんとマトモというか、繊細というか。できれば真っ当に生きたいんだろうにねえ。人間らしい感情を所持してるだけに却って貧乏くじを引き、不幸を呼び寄せている。幸運という能力値がデータにあるなら、最低を記録しそうな青年。悪運値さえもかなり低そう。黒い、というより黒くあろうとしているのか。こっそりとあまりの哀れっぷりに愛以外の何かも垂れ流してみたくなるのです……ガユスは生かさず殺さずとか(笑)
しかし彼を見ていると、ふと己のTRPGでのキャラ傾向に思いを馳せて哀しくなる。それこそちょっと死にたくなるくらい泥をかぶって生きてるのは、わざとでは無いんだよね……

◆ギギナ・ジャーディ・ドルク・メレイオス・アシュレイ・ブフ

愛があっても、フルネーム覚えられません第一弾。長ったらしい名前を愛好するこの一族が、名前を省略されると怒るってのは、実は名前は喧嘩の口実ですか。強いのは間違いないが、何かが間違ってるのも足りてないっぽいのも気の所為ではないだろう。誇り高く純粋に、と形容されてるようで、意外とヨコシマな方面も達者なご様子。一介の読者としては、許嫁の登場を待ちたくもある……美人度を有り余らせてコワいひとなんだろうなあ。
こっそり密かに相棒と依存しあっている自覚がありそうな辺り、自分さえも誤魔化し気味な相棒より上なのか。モルディーン卿曰くガユスより長く生きてるからとのことだが、この歳になると一年や二年じゃ大して変わらんでしょう。性格ですよ、既に形成されきった。つまりガユスは永遠にギギナに苦労させられ続けると……お互い様か。実はガユスに迷惑かけられてるような気も。

◆モルディーン卿(モルデイーン・オージェス・ギュネイ)

フルネーム覚えられません第二弾。じゃない肩書き覚えられません、か。此処に羅列する気にもなれません。名前は何とか大丈夫です。しかし語りにすらつい敬称をつけたくなるお方だ。怖くて。というか楽しすぎて。
この人がシリーズの黒幕、裏主人公的存在と思われる。指導者属性が有り余ってて、カリスマ垂れ流しすぎ。人間的情の持ち合わせがあるようなのに、個人的なそれを他人に見せる意志がない点が、最も畏れられるべき部分か。こういうひとが事態の黒幕であってもラスボスでは無い点が、この物語が救いようもなく明るくならない原因。彼が後世に名を残すこと間違いなしの素晴らしく有能・優秀な『政治家』である点が、かの国の民の最大多数の幸福と、小さき声の人々の不幸を促進させている。
まあ、ガユスとギギナは庇護者が必要な段階は通り越してるという判断なんでしょうか。仮にも人間トップクラスの実力者。のはずではある。上には上がいるけれど。