黒の意味



 初めて出会った時から、いつでも彼は漆黒をまとっていた。
 それはあまりに当然のことで、疑問を感じはしなかった。
 彼に何より似合う色だと――今でもそう思っている。


 黒は闇の色であり、
 黒は死を暗示して、
 黒は血の赤さえもかき消してしまう。


 けれど彼に、真紅を隠す理由があるだろうか。
 あれほどに頓着無く、死を配って歩く男なのに。


 彼が死神と呼ばれた瞬間に気付く。
 黒は死者を悼む色でもある。 


 死神は永遠の喪服をまとって、黙々と葬列を生み出し続けている。