好きな証拠

 

 

嫌いだ、ムカツクって本当に思ってる。

ケンカも常で。でも、その原因を作ってるのは俺の方で。

何かとつっかかってんのも俺だ。

嫌いなはずなのに、側にいないと落ち着かない。

無視もされたくもない。

なんでなんだろう…………。








「マムシ!!」

「んだとテメー!!もう一度言ってみやがれ」

「何度でも言ってやる。マムシ・マムシ・マムシ!!」

「殺す」

とまることのない、二人のケンカ。

もうすぐここで、あのお決まりの一言がくるだろう…。

「グランド30周」

手塚の一言でケンカは一時中断。

走りに向かう。

負けず嫌いの二人は、相手が抜くと抜き返し。

すごい体力だなと、レギュラー達は遠くから感心しながら見てた(バカにしながら)

「全然反省してない奴らだ」

「もう少し罰が必要なんじゃない?ボクが良い案をかしてあげるよ」

断りたい!!と本気で思った手塚だが、断ったら命がない。

渋々聞かねばならないのだった。(不幸な奴)

不二の案は、桃城と海堂にとって最悪なもので。

走り終えた時にはもう部活は終っていて。

部活をしたかった二人はぶつぶつ文句を言っている。

もとはといえば自分達が悪いのだが。

この怒りをぶつける矛先はお互い。ケンカがおさまるなんて絶対になくて。

「テメーのせいで今日も練習になんなかったじゃねーかよ!!」

「うるせーな!!海堂が言い返さなきゃいいんだよ!」

「テメーが何も言わなきゃいいんだよ!」

またケンカが始まりそうになった時。

「まだ走り足りないのか?」

手塚の厳しい一言。

「いえ、十分です」

部室に入って着替えようとする二人に、声をかけてきたのは不二だった。

「二人とも今日はご苦労さん。疲れたでしょ?」

「まさか!!マムシじゃあるまいし。これきしのことで疲れませんよ」

「けっ!!ホントは疲れてるくせに」

「何いってんだよ、マムシ!!」

またケンカが勃発しそうなのを無視して、不二が二人に爆弾発言。

「そんなに元気なら、部室の掃除お願いね♪」

「「えっ!!??」」

二人揃えてスットンキョな声をあげる。

「ほら、二人で協力し合えばすぐ終るよ。それとも、嫌とかいうの?」

断ったら命がないよ?って言ってるもの。これを断れるのはリョーマくらいだ(色んな意味で)

「「やらせていただきます」」

こう言うしか道は残ってなかった……。

結局、皆が帰った後二人で掃除することになった。

「ったく、早く終らせて帰ろうぜ」

「全くだ。テメーがふざけなかったらすぐ終る」

「んだと!?俺がいつふざけたって!?」

「いつもだ」

永遠に続くような言い争い。

今は、止めてくれる良心の塊大石はいない。

鬼の手塚も、魔王の不二も。

二人がこの不毛な言い争いを終えたのは、これから1時間後だった(アホ過ぎ)

「いい加減にやめようぜ」

「そうだな…。桃城にしちゃいいアイデアだ」

黙々と掃除することに専念する二人。

「……………」

「……………」

無言。

無言。

いつまでも続く無言の空間。

元々よく話す桃城は、この時間が絶えれなかった。

それ以上に、海堂に無視されてるようで心が痛かった。

何でもいいけど、海堂と接点を持っていたかった。

「っった!!!」

「どうした?」

「いや、なんでもねー」

慌てて指を隠す。

明らかに不信な行動の桃城。

「見せてみろ」

「何でもねーって!!」

桃城も言う事を無視して、指を見る。

(またバカにされんのかな)

「テニスしてんのに指怪我してどうすんだよ」

半ば呆れながら言う。

「何考えてたんだよ」

『お前のことだ』なんて言えるはずがない。

海堂がクルッと背を向ける。

あ〜、また嫌われたかも。

背を向けたはずの海堂が、また戻ってきた。

「なんだ?」

「ほら、かせよ」

海堂が桃城を指を手当てする。

「自分で出来るって」

「指は自分じゃやりにくいだろ。やってるやる」

手際良く、海堂は手当てを済ませていく。

桃城は小さく、聞こえるか聞こえないか位の声で言った。

『サンキューな』

「気にすんな。お前がいなかったら俺が困るんだよ」

「え!?」

「ほら、終わった」

そう言って海堂は桃城から離れて帰り支度をする。

「じゃ後は任せた」

「な、なんでだよ!!」

「手当てしてやっただろ?その礼をもらうだけだ」

「はぁ?」

さっさと帰ろうとする海堂。

クルッと振りかえって一言。

「ちゃんと治せよ」

笑わない海堂が、少し笑いながら言った。

後姿を見送る桃城…………。

幸せな気分に浸ってたのは言うまでもない。

嫌いだし、ムカツクけど。

それは好きな証拠なのかもしれない。



 

 

 




後日談。

っていうか、不二はなぜ二人に掃除をさせたのか。

答は簡単。

部室が汚れてて、不二様は嫌だったからです(笑)

でも、こんな感じであんまり綺麗にならなかった部室。

二人は地獄を見ることになったとか。


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1600 hit の蒼 誘希様、遅くなってしまってごめんなさい。
やっと書き終えることが出来ました!!桃海です!!
どこが!?とか言わないでください〜(涙)
書くの初だったので。こんなに時間かけて、出来たのはこれです。
で、でも愛はこもってますので安心を♪
初めは夏祭りネタだった。さすがにもう、それはアップできなかったですよ……。
ラストに不二を持ってくる必要性はあったんでしょうか?
ないですね…………

 

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