不安な気持ちを






前回、レギュラー落ちをしてしまった乾。
今まで、コーチという形で色々と手をかしていた。
だが、いつまでもコーチでいるつもりはなかった。教えるのは、元々嫌いではないが。
青学三強とも言われた。やはり、レギュラーとして、選手としてここに立って居たい。
今回は、絶対に負けない…………!!!

Aブロックは、何の因果か手塚と桃城がいる。
誰か一人はかならず落ちるということになる。その一人にはなりたくはない。
この二ヶ月間、ただ敵のデータを集めて補佐をしていたのではない。
その甲斐あってか、桃城を倒すことが出来た。
試合が終わって、レギュラーを勝ち取った海堂の元へいく。

「俺らのデータも収集してやがったのかよ」
「そうだよ?当たり前でしょ」
「性格わりぃー」
嫌そうに俺の方を見る。
それが照れ隠しだってことは、もう知っているので気にもとめない。
「性格が悪いのは昔からだからね。海堂だって知ってるっしょ?」
にやりと、人の悪い笑い方をする。
この人は、よくこんな笑い方をする。
これを知ってるは、俺くらいかもしれない(外面がいいから)
「そうっすね」
暫しの間、無言の時間が続く。
決して、嫌な空気ではない。この空間は、好きだ。

「海堂」
「なんすか?」
「俺さ、怖いんだ。また、落ちるんじゃないかって不安だった…」
普段の乾を知る者なら、想像もつかない声色。
俺は、知っていた。
この人が、レギュラーから落ちて平気な訳がないことを。
そかも、コーチという形で俺達を接しなければならない辛さを。
「先輩なら大丈夫です。俺が保証します」
「ありがと」
優しそうに、笑いかけてくる。

「先輩」
海堂が乾の襟元を引っ張って自分の方へと寄せる。
「頑張ってください」
そう言って、触れるだけのキスを乾にする。
「続きはしてくれないのかな?」
余裕しゃくしゃくな顔で聞いてくる。
だから、俺も…………。
「続きは、部長とやって勝ったらしてあげるっすよ」
と、乾がするような意地悪い表情をする。

「了解☆約束だよ?」

乾の中にあった、不安な気持ちが薄らいでいったのはいうまでもない…………









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