理想
近づきたい、君の理想に。
好きだから、もっと好きになって欲しくて。
「手塚ってさ、ボクの理想なんだよね」
「そうなんだ。俺もさ、大石って理想だにゃ♪」
彼氏自慢(笑)の会話。
「手塚って、ボクを裏切らないんだ。ボクの…理想をさ」
不二の理想を知らないエージは返事に困る。
エージにとって、大石は理想ではあるが不二みたいに『理想を裏切らない』とは断言できない。
新しく発見することもあるし、ケンカすることもあればムカツクこともある。
「理想が手塚なのか、手塚が理想なのか、わかんなくなってきちゃったんだ」
「そういうもんかにゃ〜…?」
そんなこと考えたことのないエージ。
大石は大石だ。
物事を深く考えないのも、エージの良いところかもしれないが。
不二のことを、一言で言えば理解不能なのかも…。
「手塚にとって、ボクは理想なのかな?」
答えのない、堂堂巡りの質問を繰り返す。
どうにかして、答えてあげたいエージなのだが。
ガラッ
突然、教室のドアを開けられた。
「お前ら何をやってる。もう部活は始まっているんだぞ?」
眉間に皺を寄せたままに手塚かが入ってきた。
「「おはなしで〜す」」
声を揃えて言う二人。
手塚は頭が痛くなったのは言うまでもない。
「どうでもいいから、早くこい。サボりは許さん」
「わかってるよ。あのね、理想の話してたの」
「理想?」
「そう、理想。手塚にとってボクは理想かな〜?っていう素朴な疑問」
「そんなくだらない事を話ていたのか…」
「あー!!くだらないなんて酷いにゃん!!」
「そうだろ?俺のいない所で俺の理想の答えなんて見つかるはずがないじゃないか」
「うん、そうだよね。じゃ、答えてくれるの?」
「…………知らん。ほら、行くぞ」
「言ってくれなきゃ行かないもん」
不二はプイッとふて腐れて頬を膨らませ、横を向いた。
ほっておいても、機嫌が悪くなるだけで治らないことを手塚は知ってる。
子供のように拗ねてる不二の耳元で、そっと囁いた。
「……ありがと、手塚」
顔をほんのり紅くそめて言う。
「ほら、置いて行くぞ」
「あっ!!待ってよ手塚」
荷物を持って手塚の後についていく。
その時、後ろを振り向いてエージに話かけた。
「エージ、やっぱり手塚はボクを裏切らないよ。
手塚はやっぱり手塚なんだね」
と、幸せそうに笑っていってしまった(置いてかれた(笑))
あんまり綺麗に笑うので、思わず見惚れてしまった。
「俺も、後で大石に聞いてみよっかな…」
手塚が不二に何を言ったのかは、二人だけの秘密…………。
1000HITの鷹月サマ!!やっと書き上げました。
初め、君の飛ばすとか言ってたけどちゃんと書いたから!!!
白不二!?そりゃまた難しいものを…。
しかも、微妙は終り方やし!!(管理人失格)
いやいや、これでいいんです(勝手に納得)
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