未熟な僕ら
おはよう、と共に一通の手紙を渡された。
薄い緑のしゃれた便箋。
こういうものは今までに結構見てきた。
「何?」
「4組の森下さんから」
返事してあげなよ、と不二は自分の席に行ってしまった。
俺はその便箋をそっと撫でる。
森下さんは確か不二と同じ委員会で、不二は結構気が合うと話していた子だった。
…フェイントか。
まさか彼女から手紙を貰うとはね。
顔を上げて不二を見つけると、不二は隣の席の子と楽しそうに話していた。
なんだかテレビドラマのありがちなシチュエーションだと思う。
でも、現実だと辛いだけだ。
「不二のバカ」
呟いて席を立つ。
こんなもの、とっとと読んで本人に返してしまおう。
部活の休憩中、不二が俺を引っ張って場所を移した。
とはいっても皆から離れただけで、目の前にはコートがある。
不二は、何か怒った風だった。
「今までで最低のフリかたしたんじゃない?」
第一声がそれで、流石の俺もむっときた。
何も知らないくせに。
何もわかってないくせに。
「たいした事じゃないでしょ」
「何処がっ!本人の前で手紙破ったって!?最低だよ!」
昨日の今日だよ。伝わるの早すぎ。
「あの子、もう2年もずっと英二のこと好きだったんだよ?それなのに、ひどい!」
「やけにあの子の肩持つんだね。不二、森下さん好きなの?」
軽く睨んで、からかうような口調で言ってやった。
なんで不二がこんなに怒るんだよ。
たとえ森下さんに怒られても泣かれても、それでも不二にはそんな権利はない。
間を置いて、落ち着いた低い声で
「友達だよ」
といった。
しっかり俺を睨んだその目から、自分の目を逸らす。
「2年がなんだよ。俺なんか小学校からずっとだ!」
なんでだよ。
なんで不二が俺を睨むんだ。
お前が悪いのに。
「むかつくんだよ!むかついたんだよっ!なんでよりによってお前が…っ!」
―――――。
「…英二?」
不二が眉をしかめて俺を見ていた。
言わなかったけど、隠したつもりもないんだ。
…気付かない不二が悪い。
お前だって、俺にひどい事をしたんだ。
お前からなんて、あんな手紙貰いたくなかった。
「頭痛い。俺もう帰るから、手塚に言っといて」
下で姉ちゃんが俺を呼んでいた。
友達が来てる?誰だろ。
はーいと返事をして、トントンと階段を下りたら…
「頭、大丈夫?」
不二。
「うんー。…何?」
「んー、ちょっと出ない?公園行こうよ」
「…姉ちゃん!俺ちょっと出てくるからぁ」
靴をつっかけて外に出た。
夜の8時だ。
外はもう暗い。
公園につくまで不二は黙っていて、ベンチに座ると俺を見た。
「ごめん、最低とか言って」
「…別に。俺がしたこと、確かに悪い事だし」
後悔はしてたんだ。
あの時の森下さんの顔。
俺、ひどすぎた。八つ当たりなんて。
俺はベンチの前のブランコに腰をかける。
キィ、キィと足を離して揺れてたら、不二がくすっと笑った。
くすくす笑って言った。
「後悔はしてたんだ。アレ頼まれて…すごく悩んだ。本当は英二に渡さないで破っちゃいたかったんだよね」
不二?
「だから、英二がそうした時、ホッとしたのかもしれない。そんな自分が嫌で…」
「八つ当たり?」
「ごめん」
ビックリした。
驚いた。
嬉しかった。
だってそれって…。
立ち上がって大きくブランコを漕ぐ。
夜の公園は音が響いて結構ドキドキする。
「そっかぁ、八つ当たり。へぇ」
「こういう状況で言うのって卑怯かもしれないけど、僕ずっと英二のこと好きだったから」
不二はやっぱり俺を見て笑ってた。
にやり、て。
もう笑うしかないよね、俺もさ。
「卑怯だよねー。でもしょうがないか。俺も不二のこと好きだったし?」
トン、とブランコから飛び降りて、不二の前に立った。
「明日、森下さんに謝るよ。俺のもただの八つ当たりだったから」
「うん」
「森下さんには悪いけどさ、でもよかったぁ」
大きくため息をつく。
隣で不二が
「何で?」
と聞いた。
「ん、だって…不二、ずぅっと気付いてくれないのかと思った」
「お互い様じゃない。英二だって気付いてくれてなかったんだから」
ふふふ、と笑う。
俺はそれにちょっと頬を膨らまして、でもやっぱり可笑しくて笑ってしまった。
俺らって、バカみたい。
「いーじゃん。結果オーライ!」
+アトガキ+
・・・ごめんなさい。
リクエスト一つもこなしてないですねι
他にも2個くらい書いたんですが、全然リクにそわないんですぅι
あんまり待たせるのもなんなのでUPしちゃいました・・・。
とりあえず5000HITきり番ゲッターの峰谷薫様に。
気に入りませんでしたらもう一度リクして下さい。
まじでこれはちょっと・・・ι
- 8.6 穣
リク権をゲットして書いていただきました。
甘いです!!最高です。
なんて素晴らしいんでしょう♪
読んだとき踊りました(笑)
甘い話しって好きなんですよ。意外に(笑)
ありがとうございます♪
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