夏の風物詩

「海堂先輩、着てくださいよ」

「いい加減にしろ!!俺は着ないって言ってんだろ?」

しつこく、海堂に迫るリョーマ。

嫌がる海堂を無視して、準備を始める。

「だからやめろって!!」

ドンとリョーマを突き飛ばす。

壁に軽くぶつかり、痛がるふりをする。

「…大丈夫か?」

ふりだとわかっていても、心配する辺りが海堂のいいところだ。

「痛い…、だからこれ着て」

「なんでそうなる…?」

「いいじゃん」

我が侭な子供だ。

いつもは大人顔負けのプレーをして周囲を驚かせてるリョーマだが、こういう時は子供の顔になる。

「にしても、なんでこのサイズの浴衣があんだよ?」

「親父がでかくなるからって言って、これ買ったんだけどさ…」

伸びなかったのか…。

頬を膨らませながら言うリョーマは、不覚にも可愛いと思ってしまう。

まだ中1なのだから、これから伸びるだろうとは思うけど。

「着れないと勿体無いじゃん。だから先輩が着てよ」

「ったく……。わかったよ」

「まだまだだね」

小声で言う。

「なんか言ったか?」

「いーえ、何も」
















無理矢理着させられた浴衣だが、海堂にピッタリだ。

リョーマは俺くらいにまで成長するのは何時もことだろうか…。

海堂を見た目よりひねくれてなくて、こういう格好をして夏祭りに行くのは楽しい。

リョーマよりも、密かに楽しみにしてて…。

「ねぇ、海堂先輩これ何?」

ヨーヨー釣りを指指して尋ねる。

「知らねーのか?」

リョーマは帰国子女のため、日本のものを知らないことも多い。

「やってみるか?」

と海堂が言うと、心なしか嬉しそうな顔をする。

「うん!!」

滅多の見れないリョーマの意外な一面。

これが見れるのは自分だけの特権のようの感じられて……。

嬉しく感じてる自分。

ヨーヨー釣りは意外に難しいのか、リョーマは苦戦している。

釣り上げても途中で落ちてしまっって。

「…取れない」

頬をプクっと膨らませる様子が可愛くて。

「俺が取ってやる」

気付くとそう言っている自分がいる。

(俺もこいつのは甘いな…)

子供の頃から何度もやっているので、苦労のしないで釣り上げる。

それをリョーマに渡すと嬉しいそうな顔をしながらも、ちょっと拗ねてる。

「なんだ?気に入らねーのかよ」

「…別に」

「じゃなんだよ」

「俺は全然取れなかったのに悔しいな〜って思って」

負けず嫌いな性格のリョーマ。

それがテニスじゃなくてもそうで…。

海堂にとってもらって嬉しいけど、それを素直に言えない。

(どうしよっかな〜…)

「そうだ…!!」

悪戯を思いついた子供のように、楽しそうな表情をする。

「ねぇ、海堂先輩…。このお礼しますよ」

「あっ?別にそれ位いいって」

「ダメっすよ。俺の気がすまないじゃん」

別に本当にどうでもいいと思ってるが、一度言い出したら聞かないのがリョーマ。

気が済むまで勝手にやらそうと考えた。

海堂の手をとって、祭りとは正反対の人気のない場所へと入っていく。

(何でそっちに行くんだ!?)

手を払い除けようとするが、意外に力がある。

海堂が本気で嫌がってないのも理由の一つのような気がするが(笑)

奥の方に入ってきた。

人通りは少ないが、全然いない訳でもない。

まさか変なことはしにだろうとは思うが。

前科のあるリョーマなので不安がある!!

「何するつもりだ…?」

「お礼っすよ♪」

「どこ……が…」

海堂が文句を言い終える前に、リョーマの唇が海堂の唇と重なる。

軽く触れるだけのキスから、深いものへと変えようとする。

「やめ…ろ…!!」

リョーマの体を押し返すが、力が上手く入らなくて…。

それでも、押し返してると。



ばっしゃーん!!



良い音が鳴り響く。

「「冷たい」」

さっき釣り上げたヨーヨーが割れた。

しかも、海堂が着ていた浴衣もビッショリ…。

リョーマも濡れているが、海堂の浴衣は借り物。

「わりぃ!!濡れちまった」

さっきまで襲われてたのも忘れて謝る。

「いいっすよ。それに俺も悪いし」

「でも…」

「そのままじゃ風邪引きますよね?」

にっこりと微笑まれる。



辺りが暗くなり始めた頃、海堂は浴衣を全部脱がされていた。

何があったかは、海堂が絶対に口を割らなかった。



なのに海堂の浴衣姿や、脱がされている姿の写真がテニス部で出まわったとか。

ビデオがあるとかいう噂もあるが、知らない方が幸せということもある。


ゆいき様のサイトに、今暑中見舞いのイラストがUPされてて、私が「小説にしてもいいですか?」と言い出しました。
快くOKして下さってvv
一枚のイラストから、ここまで勝手に妄想しました。
まず、イラストを見てから!!ここから飛べます。

ゆいきさんの書くリョ海は素晴らしい(うっとり)

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